123回-参-厚生委員会-02号 1992/03/26
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政府委員(大西孝夫君)/厚生大臣官房総務審議官 大西 孝夫君
国務大臣(山下徳夫君)/厚生大臣 山下 徳夫君
説明員(大久保慶一君)/法務省入国管理局警備課長 大久保慶一君
政府委員(黒木武弘君)/厚生省保険局長 黒木 武弘君
政府委員(古市圭治君)/厚生省健康政策局長 古市 圭治君
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○木庭健太郎君
午前中も少し堀委員の方から指摘があっておりましたけれども、外国人労働者、とりわけ不法就労者の医療問題について、最近随分いろいろ論議されるようになりましたし、一応厚生省の見解なりをこの際まとめてお伺いしておきたいと思っております。
外国人労働者の入国者数は随分ふえておりまして、平成二年外国人の入国者総数が三百五十万人になっております。この十年間で約三倍ということでございます。この不法就労の問題についても数についてはなかなかわかりませんけれども、少なくとも十万人を超すというようなことが今言われているわけでございます。
その中でもとりわけ人道上の問題、いろんな意味で問題になっているのが医療保障の問題でございます。去年から新聞をいろいろ繰ってみましたけれども、いろんなケースが報道されておりまして、例えばフィリピンの男性三人が交通事故に遭った。運び込まれる。医療費は保険がありませんから一千万円。もちろん本人たちは払えない。会社と病院でトラブルになってみたり、またこういう方々ですから神経的にいろいろ異国の地でなれずに腹膜炎とか盲腸とか起こす方が意外に多くて、そのたびに百万円とか二百万円の医療費が払えずに病院が肩がわりしているようなケースが多いようでございます。
この問題で一番頭を悩ませているのは病院そのものだと思うんです。医師法を見れば、何人たりとも医療をやらないということは言えないことになっておるわけですから、これは拒否することができない。一方、相手には支払い能力がないというような問題が起きておると思います。また、午前中も指摘があっておりましたけれども、幾つかの自治体で生活保護法の医療扶助の適用の問題があったりして、これに対して厚生省は、不法就労者の医療扶助についてこれは認めないというのが従前からの考え方でございますが、結果的に自治体が医療費を眉がわりするというようなケースになってみたり、東京都がどうやるかわかりませんけれども、先ほどお話があっていたように行旅病人死亡人取扱法を少し利用してみょうとか、いろんなケースが今出ているわけでございます。
こういう実態を厚生省としてどの程度御掌握になっていらっしゃるのか。もう随分国会でも何回か取り上げられましたし、私どもの衆議院の委員の一人でございます草川というのがおりますけれども、これが質問主意書を出してみたりいろんなことがあっております。それを踏まえた上で、厚生省は今こういう実態をどのように把握されているかをまずお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(大西孝夫君)
今先生御指摘の点でございますが、必ずしも不法滞在の外国人に限ったということではございませんけれども、外国人に関しまして、診療を受けた外国人の診療費が、あるいはいなくなってしまったとか、あるいは支払い能力がないというようなことで未収になっておる、そのために医療機関や地方自治体がいろいろ対応に苦慮しているという幾つかの事例につきまして、今先生御指摘のように草川議員提出の質問主意書のケースでありますとか、地方自治体からの照会等でいろいろ幾つかの事例を知っております。
それから、先般総務庁の行政監察の実態調査が出まして、それによりますと、診療を受けた外国人、調査対象となりましたのが千三百九十六人となっておりますが、そのうちの二・四%が未払いになっておるというような実態でございまして、そういうような情報から、いろいろ医療機関なり自治体が対応に苦慮されているという状況を、すべてというわけにまいりませんが、多くのケースを承知いたしております。
○木庭健太郎君
なぜ不法就労者のことを言うかというと、不法就労者の方がどちらかというと職場的にもかなり厳しいところ、要請があるから来ている部分もあるんですけれども、そういうところに働いているものですから、どうしても健康管理も行われていない。摘発されれば当然強制送還になるわけです。そんなことですから、かえって病気になってもなかなか本人も行きにくいし、また雇っている側も行がそうとしないし、そうすると結果的にどうなるかというと、もうぎりぎりの状態の中で、生きるか死ぬかの状態まで退い込まれて初めて来るというようなケースになってしまうわけです。
先ほど、確かに医師法ではこういう者は拒んじゃいけないということになっているけれども、実際最近幾つか、これも報道の事例でございましたけれども、医療費の焦げつきの問題が出るものですかも、例えば救急車が運び込もうとしてそれが外国人だとわかると今度はそこに受けようとしないというふうな病院のケースも実際に、たらい回しみたいなことになると思うんですけれども、そんなケースも指摘されていると思うんです。いろいろ不法就労の問題あると思うんですけれども、緊急性が高くて人道上の問題である医療という問題をきちんとやっておかなければ、不法就労者の場合はいわば見殺しみたいな格好になってしまうんじゃないかと思えてならないわけでございまして、不法就労者であっても一個の人格を持つ人間であるということに変わりないし、命と人権というのは平等であるべきだろうと私は思います。
我が国において、不法であるという一点のみで最も医療の緊急性の高い外国人労働者を医療保障から排除するというのは、これは許されないんじゃないかというふうなことも思うんですけれども、この点について厚生省の今の見解を聞いておきたいと思います。
○政府委員(大西孝夫君)
確かに御指摘の点は難しい、しかし非常に慎重な考慮を要する点だと思います。根底には、そもそも外国人労働者が国内に入ってくるのをどこまで認めるかというような出入国に関する基本的な考え方に影響される部分もあるわけでございますが、それを不法滞在者の医療という点に限って考えました場合に、いわゆる内外無差別ということで、社会保障適用という観点につきましては、私どもも従来からの国際社会の考え方に沿いまして適法に滞在する者の場合は国籍を問わないで、所要の負担のもとででございますが、必要な医療が受けられるという体制にしているわけでございます。
それから、短期的に旅行等で来られた方等は、適法滞在でありましても生活の基盤を国内に置いておりませんので、やはり公的な社会保障制度としての医療保障の体系に入れるというわけになかなかまいりませんものですから、その方々の母国の医療保険なり旅行者保険等を活用していただくとか、あるいは自己負担をお願いするというような形での対応を結局お願いをしなければならぬというふうに整理せざるを得ないというふうに考えておるわけであります。
そこで、不法滞在の場合はどうかということになるわけでございますが、人道的見地から何らかの措置が必要だという先生の御意見はそれなりに私ども十分理解できるところでございますが、制度としてこれに対応していくということについてはどうしてもなかなか難しい点がございますし、不法滞在を前提としての公的な医療の保障ということについては基本的には難しい点が残る、難しいと、こういうことであろうと思っております。
○木庭健太郎君
おっしゃっていることもよくわかるんですけれども、根底的考え方の中に、こういう不法就労の人たちをやった場合はこういう不法就労を助長するというような厚生省の従来からの考え方があるんですよ。緊急であってもやるとだめだということの考え方がどうも根底にあるように思うんです。
ただ、実際に今そういう人たちを受けて診療している病院は、焦げつきながらでもやっているわけですよね。それは医療法上そう決めているわけですから、やらなくちゃいけないことで焦げつきながらでもやっている人たちがいる。自治体も何とかこれに取り組まなくちゃいけないということで、知恵を出してやろうとしているところもある。それでもできない場合は、新聞報道なんかになった場合は、市民団体とか、個人ですよ、そういう市民グループがみんなで支えてやろうということで募金活動までして何とか医療費を捻出しようとする。いろんな意味で皆さんが努力されている。
こういうことについて、じゃそれはそれで皆さんがやればいい話なんだと、国としては今のまま状況を見守りましょう、そういうことで本当に済むのかなという気がするんですけどね。先ほど言いましたけれども、人道上の見地から、何か方法を見出さなくちゃいけないと思うんですけれども、どうですか。
○政府委員(大西孝夫君)
これだけ国際化が進んでまいりまして、人間の国境を越えた移動が盛んになってまいりますから、従来のいわゆる国家観というふうなものに余り、何といいますか、固定した観念で物を考えるべきではないのかもしれませんが、しかし社会保障制度というものが一応国家というものを前提に考えておりますし、その国家が人間の移動につきまして出入国という形で管理をする、その体制のもとでの話でございますものですから、公的に制度としてそういう不法滞在の外国人に対しての医療保障ということになりますと、どうしても制度的には難しいという問題が出てくると思います。
ただ、先生が今御指摘のように、地域であるいは自治体で医療機関でいろいろ知恵を出し、御苦労しながら受けていただくということは、いわゆる人道主義的な考え方というものが日本人にはないんではないかと言われる、批判があるかどうかについては、日本国民はそういう形でとにかくそういうものに対処しているわけでありますし、国民全体として見たときに、人道主義的な対応をそれなりにしていただいておる。ただ、そういうことに任じておいていいのか、こういうまたおしかりなんだと思いますけれども、制度的にというところになりますと、どうしても不法を前提にということになりますし、その不法滞在を容認、助長するということにつながる話になりますと、私ども国として制度を考えます場合には、どうしても難しいのかなというところへ議論が返ってしまうわけでございます。
お答えにならないかもしれませんが、どうしてもそこは難しいかなと思っております。
○木庭健太郎君
別に完璧な制度をつくって、たとえ不法就労者であっても、最初からその不法就労者がどういう状況であっても、全部国が面倒を見ろと、そんなことは私は全然言うつもりありません。それは、当然医療を受けるんですから、本人が払えるなら払うだけの努力はしてもらわなくちゃいけない。次はそういう不法という問題にかかわるわけですから、それを連れてきた会社なりそういうところが責任を持ってやるという第二番目の問題がもちろんある。そういう問題をやりながら、それでもなおかつというケースがあるということなんですよ。そんなにこれをやることによって全部が全部、医療制度が日本にできれば不法就労者は安心して日本に来れる、だからつくれないんだとは論議が私はちょっと違うという気が本当はしているんです。大臣、お考えがあるなら、聞きましょう。
○国務大臣(山下徳夫君) 申すまでもなく、日本は法治国家であります。法律を守らなくてもいいということは、そもそもそれはもう社会秩序の破壊でありますから、したがって社会秩序を破壊し、否定するようなそういう存在を認めていいかという、基本的にはそこから私は出発しなきゃならぬ問題だと思います。
そこで、そういう者の存在は許されないという前提に立つならば、わかり次第に強制送還するというのが今の法の手続であります。それを、日本に来たら、とにかく違法であっても潜り込みさえすれば医者も面倒見てくれるというような、そんな制度になって日本の社会秩序を維持できるかというと、私はそれがまず最初に出てくる問題であって、したがってあくまで不法滞在というものに対しては、我々としてはこれはもう公的な医療は認めるべきではない、法治国家でございますからね。
今潜り込んで、潜り込むと言うと言葉は悪いですけれども、密入国した人たちが公序良俗に反していろいろな問題が起きている。さらに、それに医療費まで面倒見てくれるということになれば、ますます密入国等がふえるという、ますます社会秩序が維持できない。基本的にはそこから出発しなきゃならぬ問題だと思っております。
○木庭健太郎君
そうすると大臣、例えば、本当は順番でほかのをやらなくちゃいけないんですけれども、平成二年十二月に、すべての外国人を対象とする移民労働者とその家族の権利保護に関する条約というのを国連で採択をいたしました。日本はいろんな立場でまだこのことについては見解を示してないようなんですけれども、この中でいろいろな項目が定めてあるんです。特に定めているのは何かというと、緊急医療――医療といっても全般の医療が、日常の医療が受けられるんじゃないんですよ。緊急医療に関しては違法入国のゆえに拒否されてはならないということをわざわざこれは規定しているんですよね。国際社会の中で、ある意味で国際法の中でいろんなことを考えていく上で、法治国家といえども、法治国家の上でありながら人権なり命なりということを考えた場合は、この緊急医療のことについては世界的にそういうこともやってみようということの第一歩が始まっているということも事実なんです。
その辺は、大臣、法治国家であると。もちろん私もそう思っております。この条約に関してどういうふうにお受けとめになられるか、特にこういう緊急医療に関しては違法入国のゆえに拒否されてはならないという規定をわざわざ設けていることに関して、どういうお考えを持っていらっしゃるかお聞かせください。
○政府委員(大西孝夫君)
先生御指摘のとおり、一九九〇年に採択をされておりますこの条約でございますが、内容的には移住労働者、それも「すべての」という形容詞がつくわけですが、その家族につきましての基本的人権の保障でありますとか、恣意的追放の禁止、雇用、労働、教育、保険等における内国民待遇の付与といったことを規定して権利の保護を図ろうという内容の条約でございますし、一昨年の国連総会で投票なしの形での採択がされたというふうに承知しております。
私どもも含めまして日本政府といたしましては、この採択の際に、いろいろ我が国としてこの条約についての考え方、問題点というような指摘はそれなりにしてはいるわけでございますが、あくまでもこれは私見でございますけれども、この条約、ある意味では非常に先ほど申しました国家というものをベースにした世界秩序を一歩さらに踏み出す、言うならば地球市民的な発想を踏まえた、そういう意味では非常に新しい考え方を踏まえたものであるし、また一面で移住労働者のサイド、それから移住労働者を出す国側のサイドというものの要請、期待というものを非常に織り込んだ形の条約であろうと思いまして、まだ現時点ではいずれの国も批准までいっている国はないわけでございますが、今後そういう内容につきまして各国でもいろいろ批准のための検討も進めると思うんです。
ただ、今御指摘になった二十八条の問題を含めましても、まずその場合の医療を受ける権利というものが、医療を受けるけれども負担の問題は別という解釈なのか、負担のいかんを問わず医療が保障されるという趣旨がという点の解釈は、まだ条約の解釈そのものとして残るわけでありますが、もし後段のように不法滞在者であっても医療が受けられるという趣旨の規定であるとしますと、先ほどちょっと触れましたように、適法で入国されて保険料という形の一定の負担を負った上で医療保障を受けておられる外国人あるいは日本人そのものとの有利不利という関係で、不法滞在者の方が有利になるというような扱いになるんではないか、そういう点は問題ではないかという点は政府として指摘をした点なのでありますが、そういうような問題を実は含んでおりまして、これをそのまま日本国内で日本の現在の法制と矛盾なく運用できる条約かどうかという点になりますと、これは一厚生省にかかわらず、教育、労働、各般にわたりましていろいろそういう意味の問題がまだたくさんある、そういう条約であると私は認識をいたしております。
二十八条の問題にいたしましても、考え方としては、新しい地球市民的な発想を踏まえたという点でそれなりに歴史的な意義のある考え方だとは思いますが、現在の国家というものをベースにした世界秩序の中ではなかなか直ちにがえんじがたい問題となる点を幾つか含んでおるというふうに考えております。
○木庭健太郎君
地球市民的といういい言葉を使われました。そうなんですよ。一つは国家というものをまず考え、もちろん今そういう国の体制でやっているわけですからそれが基本なんですけれども、そういう新しい流れがある。
大臣、法治国家だったら違法な者は医療を受けられなくてもしょうがないんだと、それはちょっと言い過ぎで、例えば国内に犯罪者がいたとします。もう犯罪者はどうしようもない人間だと、殺人を犯してもうこんなやつはどうでもいいんだと、法を犯すやつには医療は必要ないんだというような言い方になってしまうと、これはやや誤解を招きますから、そういう言われ方は大臣としてはなさらない方が私はいいと思いますし、逆に言えば、そういう視点もとっていただきたいという気持ちがございます。
○国務大臣(山下徳夫君)
今、政府委員からも答弁申し上げましたように、正当に入国してこられた外国人はちゃんと保険料を払っておられる。もちろん、日本の国籍を持つ我々日本人もちゃんと保険料を払いながら医療を受けている。違法の者だけは入ってきても医療費を何も払わなくてもできるんだよと。ですから、私は、違法な者も医療を受けられるという、そのこと自体が、そういう感覚がいいのかなと思うんですよね。私はそれは間違いではないかと思うんです。どうしてもそれは納得できないんです。
○木庭健太郎君
それは根本的に私は、人道的見地から言うならば、大臣の考えとは異なります。どんな状況に置かれた人間であろうと命がかかわるという問題が起きたときは、これから我が国がどういう国家を目指すか知りませんけれども、そういう人権というものを最も大事にする国家になってほしいと私は思っておりますから、それは見解は異なると思います。
ただ、小さな話ですけれども、これはぜひお伺いしておきたいんです。今は、不法就労が摘発されると即刻強制退去の対象となります。おっしゃるとおりでございます。ただ、その時点で医療を要する状態にある、まだ命が安定していないというか、何か病気であるという状態のままで、それも即刻退去というのが今の法体系なんですけれども、それは私はいかがなものかと思うんです。医療を要する状態にあるのであるならば、少なくとも強制退去になるまでの間、必要な医療を行うだけの体制整備をとる必要はあると思うんです。これについての厚生省と法務省の見解を伺っておきたいと思います。
○説明員(大久保慶一君)
お答えします。
不法就労者につきましては、入管法違反者として退去強制手続をとります。しかし、入管当局の収容施設に収容中の者が病気にかかっていると認められる場合には、最寄りの病院で治療を受けさせるなどの健康管理には万全を期させております。
なお、本来、退去強制手続をとるべき者が重病にかかっているとか、人道上、直ちに退去強制をとるのが相当でないといったような事情があった場合には、本人の健康状態、治療状況などを考慮いたしましてその手続を一時差し控えるなど、事案の状況に応じまして適切に対処しているところでございます。
以上です。
○政府委員(大西孝夫君)
厚生省のサイドにおきましても、その強制退去の対象となる方々について法務省サイドで可能な限りの手段があれば講じていただきたいという趣旨の申し入れを昨年もいたしまして、爾来、お話し合いをさせていただいておるわけでありますが、厚生省独自としてその対策を講ずるという点につきましては、先ほど申したような理由で困難でございまして、今後、今法務省の方から御回答がありましたような線でやはり政府としては対応をする、こういうことになろうかというふうに考えております。
○木庭健太郎君
今、きちんとやるというお話をされましたが、ただケースとしては、そうでなく、出ていったケースもあるというようなことも少しお聞きをしているんですよね。まだ治療を要する状態であったけれども、法律的には即刻強制退去になっているわけですから、出したケースがあるとも聞いております。その辺はきちんと今後そういう問題が出ないような形でやっておいていただきたいと思いますし、厚生省としてもぜひそういう観点だけは最低限やっていただきたいと思っております。
それともう一つ、外国人労働者の問題で一問だけ、適法に入国した方々の問題でございます。先ほど局長も御指摘になられておりましたけれども、行政監察局の就労に関する実態調査、私も見させていただきました。先ほど大臣は、適法に来た人はちゃんと保険に入っているから、これはやって当然なんだとおっしゃいました。ところか、実際に治療を受けた方々を見ると、五〇%以上は公的医療保険に入っていない方なんですよね。
なぜかというと、もちろんPR不足みたいなものもあるでしょうし、雇用している側の問題もいろいろあるでしょうし、そんな問題があると思うんですけれども、一つ私がぜひお願いしたいと思うことは、今、国保では一年の在留期間という要件がございます。こういった問題も、これから日本が国際化する中ではこういう要件の緩和の問題も考えていかなくちゃいけないし、また外国人を対象とした実費制度の費用負担を見込んだ共済制度の発足みたいなことも検討する必要が今出てきているのではないかなと思います。
また、もう一つ問題なのは、外国人の方々が医療機関にかかっても言葉が通じないという問題が大きな問題でもあるわけです。
ですから、どこにでもっくるわけではないんですけれども、モデルケースとして国際医療クリニックみたいな形の設置の問題とか、それから通訳を派遣するような制度を創設するとか、そういうことも必要になってくると思うんですけれども、適法入国者に関してこういう制度を今後やることについてどうお考えになるか、お伺いしておきたいと思います。
○政府委員(黒木武弘君)
外国人に対します医療保険の適用についてのお尋ねがまずございました。もう御案内のように、適法に我が国で就労する外国人に対しましては健康保険、それから御指摘のありましたように健康保険の適用を受けない者でありまして、我が国に適法に一年以上滞在すると認められる外国人に対しましては、国民健康保険を適用することにいたしておるわけでございます。
御指摘ございました、まず国民健康保険の適用基準の緩和の問題でございますけれども、国保というのは、これも御案内のように住民の相互扶助でございまして、お互いが保険料を出し合う形で保険が成り立っているわけでございます。したがいまして、保険料は前年の所得を基礎にいたしているわけでございまして、どうしても一年以上というような形で、前年の所得で保険料を公平に負担していただいていること等から見まして、あるいは外国人の一年未満の方の生活実態等々いろいろ考えますと、現時点で一年未満の短期の滞在者に対しましても国保を適用するというのは非常に難しい問題が多々あろうかと思っております。
ただ、国保の加入に当たりまして、外国人向けのパンフレットその他PR等が不十分だという御指摘を受けているわけでございまして、外国人説明用のパンフレット等を市町村に用意させまして、国保等の適用についての周知徹底をこれからも積極的に行ってまいりまして、適法に入国されている外国人の方々に対します医療保障の適正を期してまいりたいと考えております。
○木庭健太郎君
もう少しいろいろ言ったんですけれども。
○政府委員(古市圭治君)
医療機関に受診した場合に、母国語で症状を説明して治療を受けたい、こういうようなことかと思います。
これは、昨年の行革審の方でも外国人に対する情報提供のサービスということで指摘を受けているところでございまして、多くの医療機関のお医者さんは、英語は一応そういうことでは間に合うと思うんですけれども、もっといろん宣言葉ということになるとなかなか難しいということでございますので、関係団体とも今後検討をさせていただきたいと思っております。
○木庭健太郎君
この問題はもっと大臣と本格的にやりたいんですけれども、まだやりたいこともありますので、これを芽出しとしまして、これからもしっかりやらせていただきたいと思っております。
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