123回-衆-地方行政委員会-05号 1992/04/14

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小沢説明員/厚生大臣官房政策課長 小沢 壮六君
石川(嘉)政府委員/自治大臣官房審議官 石川 嘉延君
佐々木説明員/法務省入国管理局総務課長 佐々木高久君
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○小林(守)委員
 時間の関係で次に移りたいと思います。
 次は不法滞在の外国人の医療費の問題を伺いたいと思います。
 実は、この前の三月十日の地方行政委員会におきまして私が取り上げた問題の続きであります。そのときは時間の関係もありまして十分な論議というかができずに終わったわけでありますけれども、この問題というのは極めて難しい問題でもございます。しかし、極めてまた重大な重要な問題だとも考えますので、今後とも折に触れて継続して、行政の方の歩みと合わせながら私も取り組んでいきたいなと思っているところであります。
 それで、前回厚生省の亀田説明員の答弁では、不法滞在の外国人で医療費支払い能力のない方の医療費問題についてでありますけれども、医療機関は医師法によって診療拒否ができないわけであります、そういう場合に、不法滞在の外国人が入院をして治療をしたということになった場合に、その費用の問題についてはどういう方法があるのか、いろいろ勉強していきたいというような趣旨の答弁をいただきました。
 それから少なくとも一カ月以上たったわけでありますから、どのような勉強をされてきているのか。それから、ただ一人で勉強されているわけではないかと思います。いろんな方々、関係者も含めて検討や研究がなされているんだろうと思いますけれども、また他省庁との協議なんかもやっていかなきゃならない問題だろうと思いますが、勉強の状況というか、検討の状況についてお聞きをいたしたいと思います。

○小沢説明員
 三月の本委員会におきまして先生から御指摘をいただきまして、出席の説明員の方からさらに検討したいという御答弁を申し上げているわけでございますが、それでなかなか的確なお答えができなくて大変恐縮なんでございますが、その際も申し上げたわけでございますが、不法滞在外国人の医療の問題、基本的に、医療費を社会保障として補てんをするということはどうしてもやはり不法滞在を容認、助長するというようなことにならざるを得ないという意味で、大変困難ではなかろうか。
 ただ、御指摘のように、まさに医療機関が危険負担を負っているといいましょうか、そういう実態になっているわけでございますので、別の面から申し上げますと、医療機関のいわば貸し倒れというような形になっているわけでございますが、そういう不法滞在を容認、助長するという結果にならず、かつ、その医療機関の貸し倒れを何とか軽減できないか、あるいは救う道がないかということで省内でいろいろ勉強をしているところでございますが、現段階でまだ的確な結論が出ていない。例えば税制り問題で貸し倒れという点に着目して何か考えられないか等々の議論はしているところでございますが、大変恐縮でございますが、今の段階でまだ的確な答えが見つかっていないということでございますので、引き続きさらに勉強させていただきたいというふうに思っております。

○小林(守)委員
 それでは、この問題について自治省にお聞きしたいと思います。
 お話があったように、不法滞在者といえども医療を拒否はできない、しかし保険もなく、前回質問しましたけれども、行旅病人及行旅死亡人取扱法というのがあるのですが、これも私は少し解釈を広げていけば十分できるのではないかと思ったのですが、いろいろな概念規定の問題もありましてこれも適用できないというようなお話を承ったわけなんですけれども、ただ、そういう方が実際に公立の病院、医療機関に入院をしたとが入ってきた、治療を受けに来た、治療した、その場合に、公立の機関はどのような処理の仕方というか、お金がもらえない場合にはどういう処理の仕方があるのかどうか、処理の仕方といっても金が入ってこない前提の上での話なんですけれども、最終的に帳簿上はどんなふうになっていくのかということをお聞きしたいと思います。

○石川(嘉)政府委員
 患者からどうしても診療費を取れないという場合には、とりあえずは病院として未収金という形で計上いたしますが、最終的にどういう方法にせよその未収金が回収できないという場合には、損失金として当該病院の会計で負担をせざるを得ないということになっております。そういう事例はまだ余り多くないようでございますが、幾つかの病院でそういう事例も現実に発生をしているというふうに私どもも聞いております。
 公立病院というのは、御案内のように独立採算というのが原則でございますので、今後このような事例がふえてくれば、病院の経営上も無視できないものでございますし、私どもは、公営企業を担当する者としては大変憂慮しておる状態でございます。

○小林(守)委員
 間違いなくこういう事例は起こってくるはずでありますから、起こらないことを望むのですけれども、今日の現実は起こってしまうということでありますから、憂慮しているというだけではなくて、自治省もやはりこの問題については知恵を絞って厚生省と協議しながら何らかの妥当な措置というか、あり得るかどうかもちょっと定かではないのですけれども、やはり見出していただきたい、そのように考えております。
 それから次に、法務省に伺いたいと思います。
 前回、大久保説明員が答弁された問題について継続して伺いたいと思うのですが、前回、入管法違反者としての不法労働者、不法残留者に対しては退去強制手続をとっていますが、入管施設の「収容中の者が病気にかかっていると認められる場合には最寄りの病院などで治療を受けさせております。」こう答弁しているわけです。
 そこで、そのような際に、その方が支払い能力がない外国人であった場合、これはどうするのでしょう。それから、そういう場合、受けられないのでしょうか。この辺についてお伺いをしたいと思います。

○佐々木説明員
 お答えいたします。
 入管局の収容施設に収容中のいわゆる不法就労者でございますが、そういう人が病気になった場合に、その費用というのは各自の負担でございます。ただし、本人がお金を持っていないとか、そういう場合には、国費より治療費を出しております。(小林(守)委員「国でですか」と呼ぶ)はい。国費で出しています。

○小林(守)委員
 ありがとうございました。時間が来てしまいましたので、国費で出しているということは、これは極めて重要なことでありますから、後の機会にまたお聞きをしていきたいなと思います。
 ありがとうございました。


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