125回-衆-法務委員会-02号 1992/12/08

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今田説明員/厚生省健康政策局指導課長 今田 寛睦君
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○星野委員
 そういう不法就労外国人をめぐる問題は、例えば外国人犯罪の急増とかあるいは外国人女性が出産した子供の国籍の問題、養育の問題等々いろいろな問題がありますが、ここで未払い医療費の問題を取り上げてみたいと思います。
 実は、本年十二月六日付朝日新聞でありますが、不法滞在外国人の未払い医療費群馬県が肩がわり、こういう見出しで「外国人不法労働者らの医療費未払いで医療機関の負担が問題化しているが、群馬県は、来年度予算でこれを負担する方針を固め、具体的な検討を始めた。」云々と書いてあります。この数字によりますと、群馬県で未払いが累計一千二百十二万七千七百七十四円に上っているとありますが、全国的にはこういう関係の未払い医療費というのは相当な金額になるのではないかと思っております。
 いずれにしても、人命尊重でありますから、外国人であっても、例えば病気、けがの場合、病院に担ぎ込まれれば診ないわけにはいかないわけでありますが、こういう未払い医療費がどこでもふえているということは一つの大きな問題であろうと思います。例えば全国で、そういういわゆる不法残留者あるいは不法就労者等々、さらにまた外国人で社会保険のきかないものもあるでしょう、そういう外国人関係の未払い医療費というのはどのくらいか、おおよその見当はわかりますでしょうか。

○今田説明員
 お答え申し上げます。
 医療機関におきます外国人に係る未払いの医療費につきまして、厚生省といたしまして実態調査を行っておりませんけれども、全国的な規模を有します調査といたしまして、全国自治体病院協議会が実態調査を行っております。
 それによりますと、六百六病院におきまして、平成三年度の外国人患者を含みます全患者、これの未払い医療費が約二十七億一千万円でございますが、そのうち外国人に係ります未払い医療費は三・四%、約九千二百万円となっております。ちなみに、これを六百六病院で割りますと、一病院当たり約十五万円という結果となっております。

○星野委員
 自治体病院だけでもそのくらいの金額になるわけでありますから、民間の病院等を含めればかなり大きな金額になると思います。
 これについて群馬県がそのようなことを今検討を始めておる、こういうことでございますが、国の方でこれは全く我関せずということでよろしいのでありましょうか。こういう国際化の中での一つの問題点、入管ともかかわりますけれども、これは、全く完全摘発して不法残留者を全部排除するとかあるいは不法就労を全部排除するということは現実には今正直できていないわけでありますが、その後始末を民間の医療機関あるいは自治体病院に任せっきり、こういうことでいいのでしょうか。国の方の何か検討していることがあればお聞かせください。

○今田説明員
 未払いの医療費に係ります医療機関の負担軽減等の対策でございます。
 日本の国内に適法に居住していらっしゃる方々につきましては、内外それぞれ平等の原則に立ちまして、国籍を問わず所要の負担のもとで必要な医療を受けられるように仕組みがとられております。一方、不法に滞在いたします外国人につきましては、当然出入国管理及び難民認定法の規定に基づいての強制退去という取り扱いになるわけでございますが、医療保障を行うということになりますと不法滞在を容認するあるいは助長するおそれがあるということの理由から、不法滞在を前提とした対策というものを講じることは大変難しいのではないか、このように考えております。

○星野委員
 今の答弁はわかりますが、しかし何か基金をつくってそういう医療費の未払い対策を講じるというようなことは必要なことではないかな、こう思いますが、ぜひ検討をお願いいたします。



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