126回-衆-予算委員会第四分科会-02号 1993/03/05

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瀬田政府委員/厚生大臣官房総務審議官 瀬田 公和君
西澤説明員/文部省学術国際局留学生課長 西澤 良之君
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○大畠分科員
 次の質問に移りますが、外国人の医療制度についてお伺いしたいと思うのです。時間がなくなってまいりましたのでちょっとはしょりますが、合法的に入国している方の場合と非合法的に入っている方の場合と二つのケースがあると思うのです。合法的に入っている方に対する医療制度等については割と整備されていると伺っているのです。これについてもお伺いしようと思うのですが、時間がありませんので、合法的に入っている方の場合で、なかなかお金がなくて困っているという留学生に対する医療制度はどういうふうになっているのか、文部省の方からお伺いしたいと思います。
 それから、非合法的に入ってきておられる外国人の方、私の友人で産婦人科の方がおられるのですが、大変な実態にあるという話も伺っています。そこで、医療機関もなかなか財政的に大変だということで、地方自治体が財政的な支援を開始しているという群馬県での事例等もあります。それから、非合法的に入っている方の何か相談機関を設けるべきじゃないかという意見も出ています。あるいは言葉の問題があるのですね。これは合法非合法を問わず、大きな病院等ではできるだけ言葉がわかる、そういうサービス体制も整えるべきじゃないかという意見も受けているわけでありますが、そこら辺を含めて答弁をお願いしたいと思います。

○瀬田政府委員
 総括的に御答弁をさせていただきたいと思いますが、まず、日本国内に適法に居住する者につきましては、内外人平等の原則に基づきまして、国籍を問わず、健康保険とか国民健康保険とかというもので必要な医療が受けられるような仕組みになっております。
 それから、先生から特に御指摘をいただきました我が国に不法に滞在する外国人というものにつきましては、御承知のように不法滞在が判明いたしますと、出入国管理及び難民認定法とかというものの規定に基づきまして強制退去等の取り扱いの対象になるということ、また、こういう人たちに対して特に医療保障を行うということは不法滞在を容認、助長するおそれがあるというふうなことから、現時点におきましては、不法滞在を前提とした形で医療保障を行うということは困難だろうというふうに考えております。
 しかし、先生御承知のように、医療機関といたしましては、これは正当な理由がなければ患者からの診療の求めを拒んではならないということになっておりまして、いろいろ自治体病院とか赤十字病院とかといったところで医療費が支払えないというふうな人もございまして、非常に医療機関の負担になっているというふうな場合もございます。
 そういったことがございますものですから、この点につきましては、不法滞在の外国人の診療費のいわば医療機関に対する未払いによります医療機関の負担につきまして、何らかの形で措置を講ずることができないだろうかということで、現在関係する省庁との間で検討を行っている、こういう実情でございます。
 それから、先生御指摘いただきました群馬県、それから神奈川県でもそうでございますが、医療機関に対する未払いの医療費につきまして医療機関等に助成を行う事業というものを検討しておりまして、県議会等で質疑をしているというふうに伺っております。
 以上でございます。

○西澤説明員
 留学生を受け入れるに当たりまして、留学生が安心して勉強できるような条件を整備するということは重要な課題でございまして、特に万が一病気等にかかりました場合に、安心して治療が受けられるような医療制度が必要になるわけでございまして、このため文部省では、従来から、外国人留学生が日本国内の医療機関で疾病、負傷のために治療を受けました場合に、本人が支払いました医療費につきまして、健康保険法に基づいた算定の八〇%を財団法人の日本国際教育協会を通じて援助する制度を実施してきております。
 また、先ほど御答弁がございましたように、昭和六十一年から、一年以上滞在する予定の外国人につきましては国民健康保険制度に加入することができるようになりましたので、これに加入いたしますと、留学生の場合、実質的には六%の自己負担ということで医療のあれを受けることができるようになりまして、この制度への加入につきましても同時に促進しているところでございます。


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