126回-衆-厚生委員会-05号 1993/03/25
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丹羽国務大臣/厚生大臣 丹羽 雄哉君
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○吉井(光)委員
今回は、不法滞在をしている外国人の医療費未払いの対応策について若干触れてみたいわけですが、この不法滞在外国人は年々ふえ続けております。法務省の発表によりますというと、昨年十一月現在で約二十九万人を超えて過去最高を記録した、こういうことでございますが、この人たちによるところの救急医療費不払い総額は、全国で年間約二億円に上るそうでございます。この問題をこれ以上このまま放置するならば、病院経営の危機を招くおそれがあるばかりか、人道的な立場から国際批判を浴びることにもなりかねない状況でございます。
こうしたことに配慮いたしまして、神奈川県では、昨年九月に横浜で起きたところの不法入国のタイ女性がホテルから転落をし重傷を負った事故を契機に、新年度から、救急医療に限り費用を負担する政策を全国で初めて打ち出しました。群馬県でも同様に、初年度一千四百万円を計上しているようでございます。このことが首都圏だけではなくして、広島など地方都市にも広がっております。関係各方面にさまざまだ波紋を投げかけているわけでございますが、一方、政府としては、昨年夏から厚生省や法務省なと関係機関の間でこの外国人労働者問題を多角的に検討しておりまして、その中には当然、医療費未払い問題も含まれていることと思います。
確かに国レベルでは入国管理法などとの整合性、こういった問題もあると思いますが、現に未払いの増加の実態があります。また、地方自治体を初めボランティア、また病院等関係者がその対応策に苦慮している現実を厳しく受けとめて、またエイズ予防対策だとも考えれば、いずれにしても国が率先をして早急に何らかの救済制度や、またガイドラインなどの手を打つべきでありますが、厚生省のこの問題に対する認識と、そして解決策についてお聞かせを願いたいと思います。
○丹羽国務大臣 まず、我が国に適法に居住する外国人につきましては、内外人平等の原則に基づきまして、医療保険の給付が行われていることは先生も御承知のことと存じます。
問題は不法に滞在する外国人でありますけれども、実際問題、大変難しい問題を抱えておるわけであります。
まず、この不法に滞在する外国人というのは、強制退去の取り扱いの対象になっているということと、それから二番目といたしまして、この医療保障というものを行えば、結果的に不法滞在を容認、助長することになるのではないか、こういうような非常に難しい問題を抱えておるわけでございますけれども、その一方で、現に医療機関が人道的な立場からそういう不法滞在の外国人に対しまして治療を行った場合の費用をどうするかという、大変大きな問題となっておるわけでございます。
そこで、厚生省といたしましては、医療機関におきます損失を何らかの形で助成することができないかどうか、現在各省庁で検討中でございますけれども、できるだけ早い機会に結論を出さなければならない、このように考えているような次第でございます。
○吉井(光)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
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