126回-衆-地方行政委員会-11号 1993/04/15

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伊原説明員/厚生省健康政策局総務課長 伊原 正躬君
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○斉藤(節)委員
 また、さらに厚生省さんにお尋ねしますけれども、外国人に対する医療制度についてお尋ねしたいと思います。
 現行法では、不法滞在者であることを理由に医師はこれらの外国人の診察を拒否できないことになっているわけであります。しかし、本人に治療費の支払い能力がない場合、医療関係機関の負担になっておるわけでありますけれども、さまざまな問題が生じているわけであります。
 この解決のために、国において救済制度を確立する必要があると考えるわけでありますけれども、お尋ねしたいと思います。

○伊原説明員
 お答え申し上げます。
 先生お尋ねの不法滞在の外国人の医療費の問題でございます。
 まず、外国人のうち、一つは、適法に日本国内に居住する者につきましては、内外人平等の原則に立ちまして、国籍を問わず、所要の負担のもとに必要な医療が受けられるような仕組みになっております。
 しかしながら、先生のおっしゃいます我が国に不法に滞在する外国人につきましては、次のような問題がございます。
 不法滞在でございますので、それが判明いたしますれば、出入国管理及び難民認定法の規定に基づきまして退去強制等の取り扱いの対象となること、これが一つ。それからまた、二点目といたしまして、医療保障を行うことが不法滞在を容認、助長するおそれがあるということなどの理由から、不法滞在を前提にして医療保障を行うということは難しい、かように思っております。
 しかしながら、先生おっしゃいますように、医師法に基づきまして、医師は正当な理由がなければ患者からの診療を拒めないという応招義務というのが定められております。こういったような関係で、外国人が診療を受けた場合、医療費が払えない場合には、その費用が医療機関の負担になってくるという事例が生じておるわけでございます。この不法滞在の外国人の医療費の未払い問題、これに基づく医療機関の負担をどう措置するかということでございますが、これも、一方的にいたしますと不法滞在を容認するということにつながりかねない問題でございまして、なかなかこの点、非常に難しい問題がございます。
 私ども政府としましては、この問題には関係省庁が非常にたくさんございまして、現在各省で連絡会議等を設置しまして鋭意検討しておるところでございます。


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