132回-衆-外務委員会-02号 1995/02/07

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中山説明員/厚生省社会・援護局企画課長 中山 和之君
今田説明員/厚生省健康政策局医事課長 今田 寛睦君
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○中山説明員
 御説明申し上げます。
 災害弔慰金は、災害により死亡した住民の遺族に対しまして市町村が支給するということに災害弔慰金等の支給に関する法律の三条でなっておりまして、その場合の「住民」と申しますのは、その「市町村の区域内に住所を有する者」、その「住所」と申しますのは、「各人ノ生活ノ本拠」を指すということから、災害弔慰金を支給するか否かにつきましては、生活の本拠がどこにあるかによって判断されることになるというふうになっておりまして、国籍は要件とされてないところでございまして、このため、永住、定住の外国人の方はもちろん、企業の駐在員や留学生も一般的には日本国内に住所を有しているというふうに考えられますので、この災害弔慰金の対象になるということでございます。
 ただ、外国から一時的に来られました旅行者、それから不法滞在の外国人の方につきましては、一般的に日本国内に住所を有しているとは認められませんので、災害弔慰金を支給することは困難であるというふうに考えております。

○東(祥)委員
 わかりました。
 ビザが切れちゃった人はどうなりますか。

○中山説明員
 ビザが切れたような方でも、ケース・バイ・ケースで、そこに生活の本拠があるというふうに認められるような場合には当然支給されるというふうに理解しております。

○東(祥)委員
 同じように、負傷した方に対しての治療あるいは治療費、この取り扱いはどういうふうになっていますでしょうか。

○今田説明員
 医師法の上におきましては、診療に従事いたします医師は、診察治療の求めがあった場合、正当な理由がなければこれを拒んではならないという規定になっております。したがいまして、例えば医療報酬が不払いだというふうなことがあっても、これを理由として診療を拒むことはできないというふうになっております。
 以上でございます。

○東(祥)委員
 診療は拒むことはできないというのはわかるのですが、短期滞在者でたまたま被災に遭ってしまった、お金も持ち合わせがない、国民健康保険にも、健康保険にも入っていない、そういう人たちの治療費はどうなるか。

○今田説明員
 その方が在留する資格がある場合は、当然国民健康保険等の適用がなされておりますので、その適用によって対処するということになりますが、不法等で治療費が払えないというようなことが仮にあったとしても、その場合に、その方の治療がどうしても必要だという場合には医師はこれに応ずる義務があるというふうに説明を申し上げたわけでございます。

○東(祥)委員
 その場合、費用の問題が起こると思うのですね。諸外国でも、日本の方が交通事故に巻き込まれてしまった。それで、観光ビザで行く場合、ちゃんと保険を掛けていけばいいのですけれども、掛けていかないでそういう事故に巻き込まれてしまった人がいる。日本人が例えばアメリカでそういう事故に遭遇したときに、基本的に本人がお金を払う。しかし、そのとき持っていない。その場合は、日本の領事館あるいは大使館が立てかえるか、あるいはまた家族に連絡して家族から送金してもらうか、こういう処置がなされていると思うのですけれども、たまたま想定される例として、不法滞在者の方々も何人かいらっしゃる。それが今回の震災によって、ある意味であらわれてきたということも聞いております。
 そういう中で、あるのかないのかよくわかりませんけれども、もしあった場合、お金もない、また本国とも問い合わせがなかなか難しくなってしまう。お話のとおり、治療することを拒むことはできないと言っているわけですけれども、また拒めない、逆を言えば治療を受けられる、しかし現実に状況を見たときに、治療をしちゃった後何も持っていない、これはどうなっちゃうのでしょう。

○今田説明員
 一般的に不法等で当然保険も入っていないという場合もあるわけでございますが、その場合にも治療を施す義務が医師にある以上、その費用をかぶっておりますのは医療機関、こういうことに結果的にはなるわけでございます。
 この不法滞在者等の医療機関がかぶってしまっている医療費をどのように取り扱うかという点につきましては、これは今回の災害にかかわらず一般的に存在する問題でございますので、これらについて医療機関に御迷惑をおかけしていることをどのように対処すべきかは、現在検討しているところでございます。

○東(祥)委員
 これは前向きに検討しているのですか。それとも、後ろ向きに検討されているのですか。

○今田説明員
 不法という状況にはあるにもかかわらず検討させていただいているというふうに御理解いただければと思います。


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