132回-衆-予算委員会-29号 1995/05/18
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小里国務大臣/国務大臣 小里 貞利君
井出国務大臣/厚生大臣 井出 正一君
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○小坂委員
さて、今次災害で外国人の皆さんも大分被災をされたのですね。その中に大変にかわいそうな、お気の毒なケースが多々見受けられまして、私もその要望をいただいております。時間が迫ってまいりましたので、これだけちょっと申し上げておきたいと思います。
阪神大震災地元NGO救援連絡会議というところから小里大臣の方にも要請書が出ているようでございます。また、厚生大臣にもいろいろとお願いをしているようであります。
すなわち、外国人の皆さんが被災された場合に、国民健康保険加入者には医療費の本人負担が免除されるという規定がありますけれども、外国人に対しては一年以上のビザ取得が条件になっているわけですね、国民健康保険の加入は。そのために、短期滞在者あるいは超過、いわゆるオーバーステイ、超過滞在者に関しましては災害救助法による医療費の支払いを受けることができないということになってしまうわけです。
しかし、これはもう被災されておりまして、実際にこちらにリストがあるのですけれども、かなりの方々が高額の負担を今負っておるわけです。お父さんが三百万、子供が二百万とか、あるいは男性一名で二百万等々ありまして、中には、現地で被災し、そうして死亡された方もいらっしゃるわけであります。この二つの問題、すなわち、健康保険に加入できない短期滞在者あるいは超過滞在者の方々の医療費の負担について何とか道を開いていただきたい。
それからもう一点は、死亡された方、たまたま住民でなくても、日本人が被災地に行って阪神・淡路地域で被災をし死亡された場合には、恐らく弔慰金は出ると思うのです。しかしながら、外国人の方がたまたまそこにいると、これは住民ではないからということで支払いがされないというのが現状のようでありますが、この点についてどのように対処されるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○三野委員長代理
順次答弁願います。小里地震対策担当大臣。
○小里国務大臣
御承知のとおり、災害が緊急に発生いたした、その後におきまする診療機関が、医療機関が混乱しておる、あるいはまた被災した罹災者が医療の方途を失っているという大混乱の状況の中におきましては、御承知のとおり救護班を編成いたしましてこれに対応いたしておる、これは国籍のいかんを問わず、その対象として対応いたしておりますことも御承知のとおりであります。
そのような目的、趣旨からいいますと、今お話しのように一般医療機関において医療を受けた者のいわゆる医療費を補てんするということは、今申し上げましたようないわゆる緊急医療の範囲を超えた適用ということになりまして、そのことは、国籍のいかんを問わず、たとえ外国人であろうと日本人であろうと対応するわけにはいかないというのが今日の原則でございまして、その点御理解をいただきたいと思います。
なおまた、お話しのとおりそういうような相談もありましたので、相当私どもの方でも注目をして検討いたしたのでございますが、前後の事情、申し上げましたようなことでございます。
○井出国務大臣
今小里担当大臣からお答えが、基本的な姿勢としては申し上げたとおりでありますが、まず短期滞在者になぜ国保が適用されないかという理由は、国保制度というのは、やはり当該市町村に住所を有する住民の相互扶助で成り立っておる社会保険制度であるということでございます。
したがって、短期滞在者については我が国に生活の本拠たる住所を有するとは認められず、また保険制度は保険料を主たる財源としておるわけでございますが、この一年未満の滞在者の場合、年単位のあれで賦課される保険料の負担を求めることも困難だという事情があるわけでございます。
不法滞在者につきましても、これは、国内に一年以上滞在することが見込まれる適法滞在外国人を対象とするというところに既にもう外れちゃうものですから、強制退去の対象になっちゃうという意味で、大変これ難しいのでございます。
ただ、現に今そういう皆さんがいらっしゃることも事実で、医療機関が未払いで大変苦労されていることもあるものですから、今検討しております。
それから、日本人、外国人を問わず、一般医療機関で、保険に入ってない方は難しいわけですが、日本人の場合は皆保険の制度のあれからいって生活保護なんかの方で見れる制度があります。したがいまして、今回の場合、災害の起因によって出た皆さんを何とか災害救助法で適用できないかということは今実は、難しいんですが、考えておる最中であることを申し上げてきております。
それから弔慰金でございますが、これも実は災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき、災害により死亡した住民の遺族に対し市町村が支給することになっております。住民とは、さっき申し上げましたような規定があるものですから、なかなかこれは、正直のところ弔慰金の支給は難しいと申し上げざるを得ません。
○小坂委員
時間が来ましたのでこれ以上やりとりできませんけれども、皆さん聞いていらっしゃって、これは確かにかわいそうだな、何とかできないかな、皆さんが思っていらっしゃると思うんです。
法律は法律であります。その法律を何とか現状に合わせていくのが政治であります。ここは政治の場であります。どうぞ皆さんに前向きに御検討いただきまして、何とかその中から活路を見出していただくように心からお願いを申し上げて、質問を終わりたいと存じます。
ありがとうございました。
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