133回-参-決算委員会-閉06号 1995/09/28

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説明員(谷修一君)/厚生省健康政策局長 谷 修一君
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○中島眞人君
 最後に、外国人医療体制の確立の問題で、不法滞在の外国人が健康保険に加入していないため、治療を受けても医療費を支払わないケースが増加をし、これら未収金による病院経営の圧迫や外国人への診療拒否が懸念される社会問題化は年々大きくなってきていることは事実であります。
 そういう中で、厚生省は、平成八年度から全国百二十六カ所の救命救急センター、重篤救急患者の診療機関を言うなればこの種の外国人の診療をする機関として指定をする、そういう方針が明らかにされたんですが、これは一歩前進ですからいいことなんです。やっぱり人道的な立場に立って、全部診療拒否、そして、それが個人の病院のいわゆる負担増になっていくという問題に国が一歩踏み出したことはいいんですけれども、全国百二十六カ所の救命救急センターという形になると大体各県一カ所ですよね。一カ所です。一カ所はこういう外国人を診られるんだという格好で指定をすることになりますと、予想される問題としては、例えば山梨県なら山梨県でいいですよ。山梨県は、指定される重篤救急患者の診療機関ということになりますと多分県立中央病院一カ所だろうと思います。この一カ所へ山梨県じゅうの外国人の患者が殺到してきたら、本来的な山梨県の県立中央病院の重篤救急患者の診療機関は麻癖してしまうという心配が実は関係者の中から出てきているんです。
 乗り出したことについては評価します。評価するんだけれども、各県に大体一カ所でしょう。そこへ今度は各診療機関から、来た外国人患者さんを全部そっちへ回しちゃったとしたら本来的な救命救急センターの役割というものができなくなってしまうんじゃないかという懸念が現場である。この辺についてまず御意見をお聞かせいただきたいと思います。

○説明員(谷修一君)
 現在、平成八年度の概算要求の中で、外国人の医療に係るいわゆる医療機関側の未収金の対策ということで概算要求の中に入れさせていただいております。
 これはことしの五月に、厚生省の中で懇談会がございまして、外国人に係る医療に関する懇談会の報告書がまとめられておりますが、その中で外国人医療、特に生命に直結するような緊急な疾病に対して医療した場合の未収金の問題ということで、これは全国の医療機関あるいは特に自治体病院関係者からもそういうものに対する対策の必要性が、言われてきたわけでございます。
 今回私どもが概算要求の中で考えておりますのは、重篤な救急患者である外国人が救命救急センターにかかって生命に直結するような緊急かつ重篤な疾病についての医療を受けたと。一方、その救命救急センターがそれに係る医療費についての回収の努力を当然されるわけでありますが、にもかかわらず未収金となったものについて、一件当たり五十万円を超える部分について国として補助をしてこうという考え方でございます。
 したがって、私どもの考え方としては、いわゆる外国人に対する医療機関としてこの救命救急センターを指定するという考え方ではなく、考え方としては、生命に直結するような緊急な医療を救命救急センターで行った際に、それの未収金の対策として補助をしていこうという考え方でございますので、私どもとしては、またこれは概算要求の段階でございますから今後の課題でございますけれども、いわゆる救命救急センターでの外国人の救急患者というものが拡大をしていく、そういうことではないというふうに認識をしております。

○中島眞人君
 厚生省の方は、そういう病院が負担増になっているお金の問題を国がある程度肩がわりしてやろう、そういうことなんです。それはそれでいいんですよ。しかし、それじゃ各県の診療機関に全部それをやってやる、そうじゃないでしょう、全国百二十六カ所の指定をしたんだから。あなた方がそういうふうにおっしゃっても、現場の方では、じゃ例えばA病院へ外国人がけがをしてやってきた、ここではもらえそうもないと思うから、いや、うちじゃなくて救命救急センターの方へ車を回してしまう、こういう可能性というのは、そうでなくても病院経営が大変難しい時期ですから、必ず起きますよ。ですから、一歩前へ前進をした施策ですから評価をします。そういう混乱が起きないような取り扱いを各地方と十分していただきたいということを、時間もありませんから強く要望しておきます。

○説明員(谷修一君)
 先ほども申しましたよう
に、いずれにしてもこれまだ概算要求の段階でございますので、八年度予算においてこのような考え方が実現した場合には、今先生おっしゃいますようなことも含めまして、この制度の趣旨というものを都道府県を通じて十分理解をしていただくように努めたいと思っております。


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