146回-衆-決算行政監視委員会-02号 1999/11/18

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宮島政府参考人/厚生大臣官房総務審議官 宮島 彰君
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○田中(和)委員
 これはぜひひとつ早急に努力を願いたいと思います。
 もう時間でございますので、あと、最後に一点だけひとつお尋ねをさせていただきたいことがあるのでございます。私の地元で起こった事件でございまして、ぜひ先生方にも御理解と、また御指導がいただければと思うんです。
 ことしの五月二十六日に、私の地元の民間病院に、一人の中国人女性が瀕死の重体で、警察官が付き添い、川崎市の消防局の救急車で救急搬送されてきたのでございます。後でわかったのですが、この人は密入国者で、不法滞在者であったのです。そして、中国人同士の男女六人の殺傷事件、川崎で大事件があったわけでございますが、そのときの被害者なんです。それで、瀕死の重体でございましたので、医師団の医療スタッフの努力によって一命を取りとめて、そして結果、回復を待って警察官がまた逮捕して、実は国に強制送還をさせた。
 ところが、診療費が二百四十七万円かかって、どこの役所に行っても払ってくれない。それはあくまでも本人に交渉してくださいというので、いろいろとやってみたけれども、どうしようもないんです。
 ところが、医師法では、搬送された救急患者は断れないわけでございますし、ホームレスも含めて、あるいは外国人の方も、きちっとした、登録された方だったら全部生活保護の対象になるわけでありますけれども、このケースは全くどこからもお支払いがいただけない。
 これは、裏を返して言えば、救急車が当然通信をして、確認をして連れてくるわけですから、もし外国人とわかれば、お金がもらえない可能性もあるとなれば、お医者さんがいませんとか、あるいは都合がどうだとかいってたらい回し、あるいは拒否という事態にもなってくる可能性があるんです。
 当然これは、医療機関としては行政訴訟でもという話までするわけでございますけれども、私は、そんなところに至らないうちに、こういう時代ですから何か解決をする方法があればな、こう思って実は一言だけ、もう時間が来ておりますので厚生省から一言だけ短く答えていただいて、今後の宿題とさせていただきますけれども、御答弁を願い、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○宮島政府参考人
 今御指摘の不法滞在の外国人に対する医療につきましては、不法状態が前提なだけに、国としてどう対応していくかというのは非常に難しい問題でございます。
 厚生省といたしましては、有識者の懇談会でこの問題を検討していただきまして、その報告書におきましては、不法滞在外国人のために特別に新しい制度をつくるということになりますと、不法滞在を助長するおそれがあるのではないか、他方、今先生御指摘のように、現実問題として、不法滞在外国人の、治療を受けながら医療費が支払われないという事態も発生しているということが指摘されております。
 このため、今後の方向としては、国、地方自治体、医療機関など関係者がそれぞれのかかわりの程度を広げながら、できるだけこの問題を縮小していこうというのが現実的対応ではないかという指摘を受けているところでございます。
 この提言を受けまして、厚生省におきましては、新たな制度をつくるということはしないで、ただし人道的見地から、不法外国人であっても、少なくとも生命に直結するような緊急かつ重篤な疾病に対する医療については何らかの対応が必要ではないかということで、平成八年度から、救命救急センター、これは二十四時間重篤な救急患者に対する高度な緊急医療を行っている医療施設でありますが、全国に百三十ほどございますけれども、ここにおいて、いわゆる不法滞在の外国人を受け入れた場合の補助制度を設けているところでございます。
 今後とも、必要に応じ、医療に係る諸制度の適用法や運用のあり方を検討してまいりたいというふうに思っております。

○田中(和)委員
 ありがとうございました。


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