147回-衆-地方行政委員会-02号 2000/02/22

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大野(由)政務次官/厚生政務次官 大野由利子君
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○中川(正)委員
 こういう実態が一方であるわけですが、それに対してもう一つ、社会福祉といいますか、福祉の関連で、私もこの間から、ボランティア団体でこうした人たちの面倒を見ているそれぞれの皆さんに陳情されました。
 というのは、例えば医療ですね。病気にかかったときに、このごろ、医者の方が、病院の方が診療を拒否するという例が出てきている。それはなぜかというと、保険に入っていないからだ、こういうことなんですね。
 本来は、厚生省のサイドでいけば、これは就労者ですから、それを雇用しているところが被用者保険でカバーをしていくべきだという法律の建前があるわけですね。ところが、不法であった場合にはそういうこともない。あるいは、合法であっても、外国人の場合は、短期という前提からいけば、これは保険料を払っているよりも現金でもらう方がいいんだという力が働いて、なかなか説得しても入らない場合が多い。そういう分野が、逆に今度は国民健康保険の方に回っていくわけですね。
 自治体によっては、これを受け入れている自治体もあるのですが、厚生省の指導を直接経ている自治体は、厚生省がそれはだめだ、こういう人たちは被用者保険で雇用されていくべきなんだ、こういう見解があるから、私のところはそれを受け入れられませんよ、そういう自治体があるわけですね。そういうところに集中的に診療拒否が起きている、こういう実態があります。
 これは、法的にかたく言えばそれなりの話なんですけれども、実態としてこういうような悲惨な状況というのが広がってきているというこの矛盾に対しては、厚生省はどのように考えておられるかということですね。

○大野(由)政務次官
 委員の御指摘の問題、大変悩ましい問題ではあるわけでございますが、不法滞在の外国人について新たな法制度で対応をするということは、かえって不法滞在を助長するのではないか、こういう御懸念もございます。
 不法滞在の外国人について、平成七年にまとめられた外国人に係る医療に関する懇談会の報告書の中にこうしたことがいろいろあるわけでございますが、現実問題としては、我が国では多くの外国人が就労をしていらっしゃるという事実もございます。不法滞在の外国人の方が治療を受けながら医療費も払わないということで、医療機関にしわ寄せがいっている、こういう事態もございまして、その報告書の中では、国と地方自治体、医療機関などの関係者がそれぞれかかわりを広げることによって問題点をできるだけ縮小していくことが現実的な対応である、このように提言がなされております。
 この提言を受けまして、厚生省では、平成八年度から、医療機関が公的医療保険制度に加入していない外国人から回収できない医療費用を対象に、医療施設に対する補助制度を設けまして、これに対して平成十一年度からその要件を緩和した、こういう実情でございます。

○中川(正)委員
 かえって不法滞在を助長するからそういう法的整備は整えることができないんだ、しないんだということがもし政務次官の意思であるのであれば、あるいは考え方であるなら、さっきは調査会あるいは審議会の議論にそれがあるという例証をされましたけれども、そこのところを政務次官はどう考えられますか。

○大野(由)政務次官
 確かに、この不法就労の外国人の皆さんの問題、大変膨大な問題、たくさんの方がいらっしゃる、こういう現状は事実でございますし、どういうふうにしていけばいいかということは今後の大きな検討課題ではなかろうか、このように思っております。


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