153回-衆-厚生労働委員会-06号 2001/11/07
------------------------------------------------------------
桝屋副大臣/厚生労働副大臣 桝屋 敬悟君
------------------------------------------------------------
○上川委員
特に、景気が大変状況が悪いということでございまして、外国人労働者の側からの相談につきましても大変ふえているということでございますので、ぜひとも適正な形での雇用がきちっと成り立つように御指導いただきたいというふうに改めて申し上げたいと思います。
次に、社会保障の、地域社会とのかかわりということでもう少し質問をさせていただきますけれども、最近の外国人労働者の皆さんの姿勢というか生き方というのは、今までのように出稼ぎという形で来るのではなくて、家族を連れて、比較的長い時間定住するという形に変わってきています。それに伴いまして、子供さんの教育の問題、それから病気になったときの医療保険の問題、さらに、日本のシステムでいけば年金の問題という形で社会保障面での問題も出ておりますし、また、地域社会の中の一市民として暮らしているということで、犯罪というか、地域住民の皆さんとのトラブルにつきましてもふえている、こういうふうな実態でございます。
医療現場というところで見てみますと、実際医療保険への加入者が大変少ないということでございますし、また、高額医療費の未払いということも発生している。さらには、自治体の方から通訳という形で専門の方を雇って現場の方に派遣しているということで、自治体の負担も非常に大きくなっているという声も聞かれております。
先月の十八日、十九日に浜松市で、外国人が多数居住していらっしゃる市町村の皆さん、十三都市の市町の皆さんがお集まりになりまして、これは浜松市なんですけれども、浜松市で集まりまして、第二回外国人集住都市会議というのが開催されました。そのときにも、自治体、一自治体でなかなか対応できない状況を踏まえて、国あるいは県に要望していくという形で、幾つかの提案、要望が出されています。
例えば、健康保険と年金、介護保険のセットという形で今日本の中ではシステムがあるわけでありますが、この加入条件、セット加入の条件の緩和をするというような御要望でありますとか、あるいは、母国に帰国する際に、これまで払いました保険の年賦額をその時点で返還するというような形での制度ということにつきましても要望が出されています。
政府として、こうした外国人労働者定住に伴い発生する自治体の負担ということに対しまして、国としてどのような対応を考えていらっしゃるのか。また、こうした要望の具体的な項目につきまして、よろしく考えていらっしゃることを教えていただきたいと思います。
ちょっと時間がないのでもう一つ加えますと、年金の場合につきましては、この集住会議におきましても、相手の国と通算協定というような形で締結すべきではないか、こういう御指摘もございまして、年金保険関係の二国間協定ということにつきまして、現状及び今後ということで、どのように取り組まれていらっしゃるのか。あわせてお願いを申し上げます。
○桝屋副大臣
お答えを申し上げます。
上川先生から、先般行われました外国人集住都市会議の御紹介もいただきまして、特にブラジル、日系ブラジル人の皆さん方が最近は大変定住という形でこちらに来られている、こういう状況も御紹介いただき、地域との関連、特に社会保障を中心にさまざまな要望が出ておる、こういう御紹介をいただいたわけであります。おっしゃるとおりでありまして、最近のそういう状況に対応した政府の取り組みが必要だというふうに私どもも考えております。
御案内のとおり、外国人については、昭和五十六年の難民条約の批准以降さまざまに国籍要件の撤廃等手当てがされまして、ただいまではほとんど日本人と同じ、同様の制度の適用が行われているという状況でございます。ただ、今先生からお話がありましたように、セット加入の問題であるとか、保険料返還の問題であるとか、さまざまな要望を持っておられるということも聞いております。
厚生労働省といたしましても、社会保障制度の分野では、医療保険の未加入の御指摘がありましたけれども、ともかくこの加入をしていただくということが極めて大事でありまして、この加入促進に対する取り組み。それから、高額医療費のお話がございました。恐らく委員も御承知だろうと思いますが、未収金の一部について補助を行うなどの取り組みを今日までしておりますけれども、さらに、今先生からもお話ありました外国人集住都市会議の皆さん方からも近々陳情をいただく予定と聞いております。
さまざまな要望について改めて承りまして、我が省として取り組めることをしっかりと検討していきたいというように考えております。さまざまな運用でできることもあると思っております。取り組みを進めたいと思います。
それから、年金について、お尋ねをいただきました二国間協定について順次取り組んでいるということも御承知おきだろうと思いますが、恐らくブラジルの問題が念頭にあろうかと思います。
年金の問題については、相手国の年金制度の仕組みとか人的交流の状況とか、さまざまな問題を勘案しながら優先順位の高いものから取り組んでいるわけでありますが、直ちにブラジルとの協定交渉というのはなかなか難しい問題もございますが、委員の御指摘を踏まえて取り組みを進めたいと思います。
○上川委員
時間が来ましたけれども、浜松を中心に、また東海三県ということで、平成二年の改正から大変いろいろ問題が地域社会の中で起きているということで、大きなキーワードとしては、地域で共生していくという形での社会のインフラを整備することが非常に大事になってくる。これから、日本の雇用状況というのも、外国人の雇用というのも一部取り組まなければいけないのではないかということで、国としても取り組みを始めていると思いますけれども、十年の経験が自治体の方にもあるということでありまして、大変悩みながら、また、前向きに共生に向けての地域社会づくりをしていらっしゃる。こうした実態を踏まえながら、教訓にして、ぜひともこれから日本の、大きな国の方針ということに対して取り組んでいただきたいということでお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
前のページに戻る