1 はじめに
○ 我が国の経済力の向上、国際化や進展に伴い、我が国に様々な形で滞在する外国人が増加しており、今や外国人は我が国の地域社会の一員として、あるいは職場の構成員として、身近な存在となってきている。
○ これに伴い、外国人が病気やけがにより医療にかかる機会も多くなっており、中には、重症化してから治療を受けるなど深刻な事例も指摘されている。
○ 外国人が医療を受けるに当たっては、言葉や生活習慣等の違いに基づく様々な問題が生じている。また、診療を受けた場合に医療費が支払えず、その医療費が医療機関側の負担となっている事例(その多くは不法滞在外国人)が報告されており、これも一つの社会問題となっている。
○ 本懇談会は、こうした状況を踏まえつつ、外国人に係る医療の問題点を整理するとともに、対応の方向について検討を行うこととし、昨年11月から5回にわたって審議を重ねてきた。
○ 検討に際しては、まず、我が国における外国人受入れについての根本的な考え方や不法滞在の背景について整理した。
○ これらを踏まえ、本懇談会は、まず、我が国の医療にかかわる諸制度について、制度の適用対象であるにもかかわらず実際には制度を利用していない、あるいは言葉の問題等が支障となって利用しにくいなどといった問題点を整理し、我が国に滞在する外国人が不都合を感じることなく医療を受けられるよう、十分な情報提供やより適切な制度の運用の確保についての検討を行った。
○ 外国人の医療費の未払問題は、大量の不法滞在を背景とする様々な社会問題の一つであり、まず、入国管理政策や労働政策あるいは企業側の受入姿勢などにおいて、適切な対応がなされるべきであり、不法滞在問題自体の解消を図らない限り、この問題を根本的に解決することができない。
一方、現実には約30万人の不法滞在外国人がおり、一部の調査ではあるが、医療費の未払い額が増加してきているという報告もある。
この問題についても、可能な範囲で現実的かつ妥当な対応ができないかという観点から検討を行なった。
2 我が国の外国人の受入れの考え方
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