外国人の救急医療費損失補助事業実施要領

(目 的)
第1条 この要領は、救命という人道的立場から、救急医療機関が安心して、外国人に対して救急医療を提供できるよう、当分の間実施する救急医療機関に対する救急医療費損失補助について、基本的な取扱を定めるものとする。

(定 義)
第2条 この要領において、次の各号に掲げる用語の定義は、当該各号に定めるところによる。
(1)救急医療機関 国立を除く別表の医療機関をいう。
(2)救急医療 急性期の次に掲げる外傷や疾病のうち保険診療で認められる範囲内の医療で、救急医療費損失補助審査会(以下「審査会」という。)の認定を受けたもの。
 ア 事故による窒息、溺水、気道・食道内異物、鬱熱、脱水、熱傷、凍傷、薬物ショック
 イ 医薬品、有毒ガス、動・植物による急性中毒
 ウ 感染(敗血症、細菌性ショック)
 エ 消化管出血、潰瘍
 オ 急性腹症、意識障害を伴う疾患、循環系の急性疾患、尿毒症、痙攣を伴う重度疾患
 カ 外傷
 キ 歯、口腔疾患
 ク その他、審査会として特別に認める救命救急処置 
(3)外国人患者 県内在住の外国人(観光目的等で県内に滞在する者を含む。)で、救急医療機関において救急医療による治療を受けた傷病者のうち、医療費の弁済が行えない者等をいう。
  ただし、次に掲げる者は除く。
 ア 健康保険、社会保険、旅行保険等に加入している者
 イ 労働者災害保障保険又は自動車損害賠償保険等が適用され、医療費の弁済が行われる者
 ウ 分割払い等の手段により医療費の弁済を行っている者、又は行うことを約束している者
 エ 親族又は雇用主等が医療費の弁済を行っている者、又は行うことを約束している者
 オ 法令に基づく制度が適用され、医療費の弁済が行われる者

(補助の対象)
第3条 補助の対象は、前条第3号に定める外国人患者の前年度の医療費のうち、原因が当該救急医療機関の責によらないもので、診療終了日から1年経過するまでの間、回収に相当な努力をしたにも関わらず生じた損失医療費とする。

(補助基準額)
第4条 1次医療機関においては、患者1人あたり、健康保険法の規定による療養に要する費用の算定方法(平成6年3月16日厚生省告示第54号、以下「算定方法」という。)に基づき積算される初診日から原則として3日以内の診療報酬に相当する額から自己負担相当として3割を減じた額を補助基準額とする。
2 2次医療機関、又は3次医療機関においては、患者1人あたり、前項の初診日から原則として3日以内の診療報酬に相当する額と、入院を必要としたものにあっては、入院の日から14日を限度として要した経費のうち、算定方法に基づき積算される入院時基本診療等の入院時の診療報酬に相当する額を加えた額から自己負担相当として3割を減じた額を補助基準額とする。
3 前2項の補助基準額の算定にあたり、1件1人あたりの額が1,000千円を越えるときは、1,000千円を補助基準額とする。

(補助額)
第5条 補助額は次のとおりとする。
(1)外国人患者の居所が明らかな場合は、県と市町がそれぞれ補助基準額の1/2を補助する。
(2)外国人患者の居所が不明な場合は、県が補助基準額の10/10を補助する。
(3)前2号の規定により算出した補助金の額に千円未満の端数があるときは、その端数金額を切り捨てるものとする。

(交付申請)
第6条 救急医療機関は、前々年の10月1日から前年の9月30日までの間に加療が完了したものについて、毎年10月10日までに申請するものとする。
2 救急医療機関は、外国人患者の救急医療費損失補助金交付申請書(様式1)により、知事並びに外国人患者の居所地の市町長に申請するものとする。

(審査会の承認等)
第7条 知事は、外国人の救急医療費損失補助の適正な執行を図るため、別に審査会を設け、承認事務を委嘱する。
2 審査会は、すみやかに交付申請の承認結果を知事に報告する。
3 知事は、承認結果を外国人患者の居所地の市町長に報告する。
4 知事及び市町長は、承認結果を基に補助金の交付決定を行い、申請した者に通知する。

(実績報告・支払)
第8条 補助金の交付決定を受けた者(以下「補助事業者」という。)は、様式2により当該会計年度終了後、4月30日までに知事及び居所地の市町長に事業実績報告を行わなければならない。
2 知事及び外国人患者の居所地の市町長は、前項の実績報告を審査し、適合と認めるときは、交付すべき補助金の額を確定し、補助事業者から提出される補助金請求書により、すみやかに補助金を交付する。

(救急医療機関の責務)
第9条 補助事業者は、次に掲げる事項を行わなければならない。
(1)補助事業についての収入及び支出を明らかにした帳簿を備え、かつ、当該収入及び支出についての証拠書類を当該補助事業の完了の日の属する県の会計年度の翌年度から5年間保存すること。
(2)外国人患者の損失医療費に対する責任者を定め、回収に相当な努力を行うとともに、その経緯を救急医療機関外国人患者受診状況表(様式3)等により記録し、前第1号に定める期間保存すること。

(補助金の返還)
第10条 補助事業者は、当該補助事業の完了の日の属する県の会計年度の翌年度から5年の間、当該外国人患者又はその関係者から医療費を回収したときは、知事、及び外国人患者の居所地の市町長に報告し、次によりその相当額をそれぞれに返還しなければならない。
(1)回収額が補助基準額を超える場合  知事、又は市町長から交付された額の全額
(2)回収額が補助基準額に満たない場合 回収額に知事、又は市町長から交付された額の割合を乗じた額

(個人情報の保護)
第11条 この事業により得た外国人患者に関する個人情報については、法令に基づくもののほか事業の目的以外に利用し、又は提供してはならない。

(薬局への適用)
第12条 補助対象となる救急医療機関の医師の救急医療として発行する処方せんに基づき調剤を行った薬局については、第2条の(3)及び第3条から第11条を適用する。

(雑 則) 
第13条 この要領の実施について必要な事項は、別に定める。

 附 則
1 この要領は、平成7年9月1日から施行する。
2 この要領は、外国人救急医療システムの稼動日の平成6年9月1日以降に生じた医療費の損失から適用する。

別表(第2条関係)
 補助対象となる救急医療機関は次の範囲とする。

  種  別 取扱対象患者の範囲
1次 診療所(歯科を含む。) 全救急患者(平日昼間も含む。)
2次 昼間 外国人対応病院群輪番制病院 診療時間帯に診察した救急患者
一般病院群輪番制病院   〃
救急告示病院   〃

休日・

夜間
(神戸、阪神、東播磨、西播磨地域)
外国人対応病院群輪番制病院
当番日の診療時間帯に診察した救急患者
(その他地域)
一般病院群輪番制病院
当番日の診療時間帯に診察した救急患者
3次 救命救急センター及び県立西宮病院(救急センター)、県立柏原病院、県立淡路病院、県立こども病院(周産期医療センター) 全救急患者
その他  外国人対応並びに一般病院群輪番制病院の当番日にこれらの病院から後送を引き受けた病院 収容した救急患者

注1 外国人対応病院群輪番制病院とは、外国人が多い神戸、阪神、東播磨、西播磨地域で、主として外国人患者への円滑な対応を目的に整備する病院群輪番制に参加している病院である。

 2 一般病院群輪番制病院とは、外国人対応を主としない病院群輪番制に参加している病院である。


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