6月25日 朝日新聞 |
【見出し】 医療機関への補助制度実施申し入れ/不法滞在外国人の治療/府に 市民グループ「ブレンダ会」/ 費用未払いケースも 【リード】 不法滞在の外国人が病気やけがで医療機関にかかった際、医療費を支払わないまま になる問題が府内でも起きている。24日には、支援活動をしている市民グループ 「ブレンダ会」(代表、中村尚司・龍谷大教授)が、医療機関への医療費補填制度の 実施などを府に申し入れた。 【本文】 5月下旬、JR京都駅で、車いすに乗った韓国人女性(55)が帰国のため、関西 空港へ向かう列車に乗り込んだ。支援者に女性は「親切にしてもらって感謝していま す。でも、もうこの国に来ることはないでしょう」と話した。 女性は約4年前、短期滞在ビザで来日。京都市内の韓国料理店などで働いた。昨年 9月、脳出血で倒れ、救急車で病院に。約3週間後に退院したが、右半身にマヒが 残った。100万円を越える医療費は未払いのままだ。 昨年12月15日夜には、駅のホームで通過電車に接触した中国人男性(32)が 南区の京都九条病院に運び込まれた。頭がい底などを骨折したが、一命はとりとめ た。男性は1カ月余り後に退院、1月下旬に帰国したが、約160万円の医療費は支 払われていない。 男性は99年3月に短期滞在ビザで来日。超過滞在となったまま、京都市内の食品 製造会社で働いていた。社長は「製造業などの現場では、外国人の労働力が重要な役 目を果たしていることも知ってほしい」と話す。 ●独自に補助 在日外国人については、在留期間が1年以上の場合は、国民健康保険が適用され、 就労している場合は健康保険に加入できる。しかし、不法就労の場合は適用されな い。 外国人への生活保護は、90年6月の出入国管理法改正までは在留資格を問わず適 用されていたが、同年10月、厚生省が定住者と永住者、その配偶者にのみ準用する ように自治体を指導した。この後、不法滞在外国人の医療費の不払いが社会問題化。 東京都、島根県、神奈川県、兵庫県などは独自に医療機関を補助する制度を設けてい るが、府にはない。 国も96年度から、全国の救急救命センターを対象に、救急医療費1件につき30 万円(98年度までは50万円)を超える分の3分の1を補助している。 ●バックアップを 京都九条病院の山木垂水院長は「医療機関は患者の国籍や事情に関係なく、最善を 尽くしている。行政は医療機関をバックアップする制度を整えるべきだ」と話す。 「ブレンダ会」代表の中村さんは「国際都市をうたう京都府として、すべての外国 人が安心して医療を受けられる環境を作ってほしい」と話している。 |
6月25日 京都新聞 |
【見出し】 京の外国人の緊急医療対策で要望書/市民団体、知事に 【本文】 市民団体の「ブレンダ会」(中村尚司代表)は、二十四日、京都府の山田啓二知事 に対し、京都で暮らす外国人の救急医療への対策を求める要望書を出した。 ブレンダ会は、もともとはフィリピンから来日し、宇治市内の工場などで働いてい るうち一九九一年に、くも膜下出血で倒れたブレンダ・ガルシアさんの医療支援のた め設立された団体。 ブレンダさんの帰国後も、健康保険制度が受けられない外国籍住民への医療費支援 や生活相談などの活動を続けている。 要望では、外国人未払い医療費対策事業の早急実施▽外国人の緊急医療の実態調査 の実施−などを求めている。 同会によると、保険が適用されない外国籍住民が急病になった場合、病院での治療 を断られたり、高額医療のため受診できないケースもあるという。中村代表は「東京 都や兵庫県などでは助成制度をつくり対応している。府でも実現してほしい」と訴え ている。 |