ホームに戻る  日本・フィリピン経済連携協定(JPEPA)問題
アスベストの関税削減

【間違いなどに気付かれた方、こんな資料・情報があるよという方、ご連絡ください。よろしくお願いします】

(整理中)
1.基礎知識 バーゼル条約  
2.基礎知識 労働安全衛生法施行令  
3.基礎知識 ILO石綿条約の批准状況  
4.基礎知識 アスベストとWTO内国民待遇 ケース update 20070822  
5.石綿と関税分類  
6.経済連携協定による関税削減
7.「フィリピン+アスベスト」
(ア)米軍基地アスベスト被害
(イ)常石造船 セブ 廃船解体問題
(ウ)フィリピンへのアスベスト混入輸出問題


廃棄物問題は、化学物質問題市民研究会のサイトが詳しい
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/jpepa_master.html


   
1.基礎知識
1992年発効のバーゼル条約では有害廃棄物に指定され、各国間の越境移動が禁止されている。また、国際労働機関(ILO)は1986年に石綿条約を採択し、職業上の石綿暴露による健康被害の防止と抑制などを定めている(1989年発効で、日本は2005年8月に批准)。国内では、石綿による健康被害の救済に関する法律が、2006年2月に制定。

批准するのは、発効の16年後!!
EICネット 環境用語集「アスベスト」
バーゼル条約 附属書�機ゝ�制する廃棄物の分類
Y36 石綿(粉じん及び繊維状のもの)
2.基礎知識 労働安全衛生法施行令

厚生労働省 石綿
アスベスト全面禁止 労働安全衛生法施行令が改正され、平成18年9月1日から施行されます。
石綿及び石綿をその重量の0.1%を超えて含有するすべての物の製造、輸出、譲渡、提供、使用が禁止されます。

経済産業省  アスベスト含有製品を部品として用いた製品の輸入規制について 平成17年9月27日

労働安全衛生法

第二節 危険物及び有害物に関する規制

(製造等の禁止)
第五十五条  黄りんマツチ、ベンジジン、ベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずる物で、政令で定めるものは、製造し、輸入し、譲渡し、提供し、又は使用してはならない。ただし、試験研究のため製造し、輸入し、又は使用する場合で、政令で定める要件に該当するときは、この限りでない。
労働安全衛生法施行令

(製造等が禁止される有害物等)
第十六条  法第五十五条 の政令で定める物は、次のとおりとする。
四  石綿
九  第二号、第三号若しくは第五号から第七号までに掲げる物をその重量の一パーセントを超えて含有し、又は第四号に掲げる物をその重量の〇・一パーセントを超えて含有する製剤その他の物

これまでの主な政省令改正(労働安全衛生法令関係) から輸入関係

平成7年労働安全衛生法施行令の改正により、アモサイト及びクロシドライトの製造、輸入、譲渡、提供又は使用の禁止
平成16年労働安全衛生法施行令の改正により、建材、摩擦材等の石綿含有製品の製造、輸入、譲渡、提供又は使用の禁止(10月1日より施行)
平成18年労働安全衛生法施行令の改正により、石綿等の製造等の全面禁止、石綿障害予防規則の改正によりさらなる石綿ばく露防止対策の充実(9月1日より施行)


▲労働安全衛生法55条を基にしているので、日本への「輸入」には規制がかかっているが、「輸出」には規制がかかっていない。

3.ILO石綿条約の批准状況
(ア)石綿の使用における安全に関する条約(第162号)

「職業上の石綿へのばく露による健康に対する危険の防止と抑制、及びこの危険からの労働者の保護を目的とする。」もので、輸出入についての言及はないハズ。

(イ)批准状況(英語)

アジア圏では、日本と韓国しか批准していない。


*環境・労働環境の規制の弱いところに石綿が流れていく…。
4.基礎知識 アスベストとWTO内国民待遇 ケース 
経済産業省「2007年版不公正貿易報告書
〜WTO協定及び経済連携協定・投資協定から見た主要国の貿易政策」2007年4月16日

第II部 ルールの概要 第2章:内国民待遇 (1,141KB) 206ページ
EU―アスベスト及びアスベストを 含む産品の輸入・流通等を禁止す る措置(DS 135)

消費者・労働者保護のためアスベスト及びア スベストを含む産品の輸入・流通等を禁止する フランスの措置について、1998年10月にカナ ダがパネル申立を行った。2000年9月のパネル 報告書は、本件は内外の同種の産品を差別して おりGATT 第3 条4 項違反であるが、 GATT 20条⒝(人、動物等の生命又は健康の保 護等を目的とした一般的例外)により正当化さ れる、と判断した。これに対し、2001年3月の 上級委員会報告書は、アスベストとアスベスト 以外の建築材料は同種の産品といえないとし て、GATT 第3条4項に係るパネル判断を覆し たものの、GATT 第20条⒝に係るパネルの判 断は妥当であったとしている。

*GATT 第3条は、WTO加盟国が他の加盟国 に内国民待遇を供与することを定めている。
国内規則については、同種の産品の間では、輸入産品に国内産品より 不利でない待遇を付与する(第3条4項)旨定めている。

5.石綿と関税分類
(ア)関税分類と2007年関税分類改定

石綿に関連する関税分類は

25.24 石綿

68.11 石綿セメント製品、セルロースファイバーセメント製品その他これらに類する製品

68.12 石綿繊維(加工したものに限る。)、石綿をもととした混合物及び石綿と炭酸マグネシウムとをもととした混合物並びにこれらの混合物又は石綿の製品(例えば、糸、織物、衣類、帽子、履物及びガスケット。補強してあるかないかを問わないものとし、第68.11 項又は第68.13 項の物品を除く。)」

68.13 ブレーキ用、クラッチ用その他これらに類する用途に供する摩擦材料及びその製品(例えば、シート、ロール、ストリップ、セグメント、ディスク、ワッシャー及びパッド。取り付けてないもので、石綿その他の鉱物性材料又は繊維素をもととしたものに限るものとし、 紡織用繊維その他の材料と組み合わせてあるかないかを問わない。)

バーゼル条約は、68類( http://www.customs.go.jp/tariff/kaisetu/data/68r.pdf13〜16ページ)の製品については規制していないそうですが、…労働安全衛生との関係で輸入については規制がかかっている。

25類24は、一般的には石綿原料というとらえ方のようですが、中身は、http://www.customs.go.jp/tariff/kaisetu/data/25r.pdf 18〜19ページ
この項には、岩状の粗石綿、未精製の打ち伸した又は洗浄した繊維(一定の長さにそろえてあるかないか問わない。)、フレーク状又は粉状の石綿及び石綿のくずを含む。

という規定で、原料もあればくずもある…この25類24が、バーゼル条約の(粉じん及び繊維状のもの)との関係で問題に。


◆2007年の関税分類改正 環境保護の要請を受けた項・号の新設等(参考 知っておきたい関税分類 )

石綿(アスベスト)を含有するもの(6811.40)の新設などが行われています。

関税率表解説改正 (PDF)
輸出統計品目表及び輸入統計品目表を定める等の件の一部を改正する件(財務省告示第416号):平成18年10月31日付け『官報』
日本関税協会  2007年 輸出・輸入統計品目表−新旧対照表
新旧
68.11 石綿セメント製品、セルロースファイバーセメント製品その他これらに類する製品 68.11 石綿セメント製品、セルロースファイバーセメント製品その他これらに類する製品
(削 除) 6811.10-波板
(削 除) 6811.20-その他のシート、パネル、タイルその他これらに類する製品
(削 除) 6811.30-管及び管用継手
6811.40-石綿を含有するもの
    -石綿を含有しないもの
(新 規)
6811.81--波板 (新 規)
6811.82--その他のシート、パネル、タイルその他これらに類する製品 (新 規)
6811.83--管及び管用継手 (新 規)
6811.89--その他の製品 (新 規)
(削 除) 6811.90 - その他の製品
(省 略) (省 略)
68.12 石綿繊維(加工したものに限る。)、石綿をもととした混合物及び石綿と炭酸マグネシウムとをもととした混合物並びにこれらの混合物又は石綿の製品(例えば、糸、織物、衣類、帽子、履物及びガスケット。補強してあるかないかを問わないものとし、第68.11項又は第68.13項の物品を除く。) 68.12 石綿繊維(加工したものに限る。)、石綿をもととした混合物及び石綿と炭酸マグネシウムとをもととした混合物並びにこれらの混合物又は石綿の製品(例えば、糸、織物、衣類、帽子、履物及びガスケット。補強してあるかないかを問わないものとし、第68.11項又は第68.13項の物品を除く。)
(削 除) 6812.50-衣類、衣類附属品、履物及び帽子
(削 除) 6812.60-紙、厚紙及びフェルト
(削 除) 6812.70-ジョイント用の圧縮した石綿繊維(シート状又はロール状のものに限る。)
6812.80-クロシドライト製のもの
    -その他のもの
(新 規)
(削 除)? 6812.90-その他のもの
6812.91--衣類、衣類附属品、履物及び帽子 (新 規)
6812.92--紙、厚紙及びフェルト (新 規)
6812.93--ジョイント用の圧縮した石綿繊維(シート状又はロール状のものに限る。) (新 規)
6812.99--その他のもの (新 規)
(省 略) (省 略)
68.13 ブレーキ用、クラッチ用その他これらに類する用途に供する摩擦材料及びその製品(例えば、シート、ロール、ストリップ、セグメント、ディスク、ワッシャー及びパッド。取り付けてないもので、石綿その他の鉱物性材料又は繊維素をもととしたものに限るものとし、紡織用繊維その他の材料と組み合わせてあるかないかを問わない。) 68.13 ブレーキ用、クラッチ用その他これらに類する用途に供する摩擦材料及びその製品(例えば、シート、ロール、ストリップ、セグメント、ディスク、ワッシャー及びパッド。取り付けてないもので、石綿その他の鉱物性材料又は繊維素をもととしたものに限るものとし、紡織用繊維その他の材料と組み合わせてあるかないかを問わない。)
(削 除) 6813.10-ブレーキライニング及びブレーキパッド
6813.20-石綿を含有するもの
    -石綿を含有しないもの
(新 規)
6813.81--ブレーキライニング及びブレーキパッド (新 規)
6813.89--その他のもの (新 規)
(削 除) 6813.90-その他のもの
(省 略) (省 略)


(イ)アスベストの輸出入の実績

石綿対策全国連絡会議 第19回総会議案
【決議案�◆� 石綿対策全国連絡会議は  アスベスト問題の地球規模での解決をめざす(PDF116kb)
● 日本の「2006年度中に全面禁止」公約
そのためにも、日本政府に、一日も早く「2006年度中に全面禁止」の公約10を実現させなければなりません。2006年1月18日に発表された厚生労働省の「石綿製品の全面禁止に向けた石綿代替化等検討会報告書」11 が、「2006年度中のポジティブリスト化(7つの例外製品を除き原則禁止)」だけを提言したもので、国会審議でも、「完全な(例外なき)全面禁止」の時期は「『できるだけ早期に』以上のことは言えない」という政府答弁にとどまっていて、公約が反古にされかねない状況にあるからです。
「原料アスベスト」の輸入は、2004年10月1日の「原則禁止」(10種類のアスベスト含有製品の禁止)により、2005年には110トンにまで激減しました。しかし、今回石綿対策全国連絡会議が確認したところによると、ジョイントシート等のアスベスト含有製品の輸入及び輸出とも必ずしも減少していないことが判明しています(別添3参照)。
財務省貿易統計:別添3参照。表中、関税率表分類「6811」及び「6813」には、アスベストを含有していない製品も含まれている可能性があり、また、建材及びブレーキライニング・ブレーキパッドは、2004年10月1日の「原則禁止」の対象とされています。原料アスベストの2005年の輸入量は「0トン」となっていますが、価額にして約406万円分の輸出は行われています。
9から10ページに「【別添3】 石綿及び石綿含有製品(の可能性のあるもの)に関する貿易統計」が掲載されています。
6.経済連携協定による関税削減
アスベストは、バーゼル条約で有害廃棄物に指定され、各国間の越境移動が禁止されているにも関わらず、関税が削減されている。

以下、関税分類のアスベストの前後を示す。改めて、アスベストの関税即時撤廃の意味は何なのか?と考えざるを得ない

日本・フィリピン 日本・タイ
日本国の表
323ページ
フィリピン国の表(英語)322ページ 日本国の表156ページ
タイ国の表(英語)242ページ
二五・二三
ポートランドセメント、アルミナセメント、スラグセメント、スーパーサルフェートセメントその他これらに類する水硬性セメント(着色してあるかないか又はクリンカー状であるかないかを問わない。)
AA
2523.10 10 - - - For white cement

2523.10 90 - - - Other
      - Portland cement:
2523.10−−ポートランドセメント
2523.21 00 - - White cement, whether or not artificially coloured
2523.21−−白色セメント(人工着色をしてあるかないかを問わない。)

2523.29 00 - - Other
2523.29−−その他のもの
2523.30 00 - Aluminous cement
2523.30−アルミナセメント
2523.90 00 - Other hydraulic cements
2523.90−その他の水硬性セメント
A

5% B5



A

5% B5**


A


5% B5

B





B

B


B


B

二五二四・〇〇
石綿
2524.00 00 Asbestos
A A A A
二五・二五
雲母(はく離雲母を含む。)及びそのくず
A
2525.10 00 - Crude mica and mica rifted into sheets or splittings
2525.10−粗のもの及びシート状又は片状にしたもの

2525.20 00 - Mica powder A
2525.20−粉

2525.30 00 - Mica waste 3% B5*
2525.30−くず
3% B5*


A


3% B5*
B


B


B

フィリピン・タイ共通

「A」を掲げた品目に分類される原産品の関税については、この協定の効力発生の日に撤廃する。

(フィリピンとタイでは欄の位置が違っている)

フィリピン国

表の4欄に「B5」を掲げた品目に分類される原産品の関税については、この協定の効力発生の日から行われる基準税率から無税までの六回の毎年均等な引下げにより、撤廃する。

表の4欄に「B5*」を掲げた品目に分類される原産品の関税については、この協定の効力発生の日から二千三年十二月三十一日において当該品目に適用されている実行最恵国税率を適用し、基準税率から無税までの五回の毎年均等な引下げにより、撤廃する。この毎年の引下げは、二年目から六年目までの各年の初日に行う。

表の4欄に「B5**」を掲げた品目に分類される原産品の関税については、この協定の効力発生の日から二千三年十二月三十一日において当該品目に適用されている実行最恵国税率を適用し、六年目の初日に撤廃する。

タイ国

表の3欄に「B」を掲げた品目に分類される原産品の関税については、表の5欄に定めるところに従い、毎年の引下げによって撤廃する。

タイの抜粋したところでは、2〜5年で関税撤廃
7.フィリピン+アスベスト
(ア)米軍基地アスベスト被害
(イ)常石造船 セブ 船舶解体問題
(ウ)フィリピンへのアスベスト混入輸出問題

(ア)米軍基地アスベスト被害

2004年世界アスベスト東京会議(GAC 2004)
フィリピンの訴訟:スービック海軍基地でアメリカ海軍に置き去られたアスベスト被害者たち
アレクサンダー・ラクソン

(2005年8月22日共同 アスベスト被害で提訴へ 比の元米軍基地労働者)

「アスベスト被害に苦しむフィリピン元米海軍基地労働者」 (本誌特派 小松健一(写真も)/下原 護) 週刊金曜日 1996.7.5

★基地被害に関する知識
フィリピン・クラーク空軍基地跡地の環境汚染被害
大 島 堅 一 立命館大学国際関係学部助教授


(イ)常石造船 セブ 廃船解体問題 (フィリピンに限らない 開発途上国における船舶解体問題)

海外での廃船処理による公害等に関する質問主意書
提出日 平成10年12月14日  提出者 加藤  修一君
答弁書 平成十一年一月二十二日

造船大国日本の船の解体責任と常石セブ造船問題 弁護士小島延夫

「フィリピン・セブ島開発と「公害輸出」(上・下)」諏訪勝(『法学セミナー』No.514,515 1997年)
「常石造船が公害輸出!?フィリピン・セブ島の海上で廃船解体」(諏訪勝)週刊金曜日 第168号 憲法施行50周年 1997.4.25
「フィリピン・セブ島の廃船解体で」(諏訪勝)週刊金曜日 第221号 化学物質の逆襲 1998.6.5


(ウ)2000年4月 【フィリピンへのアスベスト混入輸出問題】

*経済産業省  大臣閣議後記者会見の概要 平成12年4月18日(火)
【フィリピンへのアスベスト混入輸出問題】

Q:
 フィリピンで、今度は神戸の仮設住宅がやはり前回と同じような状況で現地に行っているようですが、これについても通産省は何らかの調査をされたのでしょうか。

A:
 フィリピンのセブ島にアスベストを含有するプレハブ住宅資材が日本から輸出されたというふうに現地で報道されたということなのです。
 14日のセブ地方紙「サンスターデイリー」というのですけれども、これは、神戸から輸出されたプレハブ住宅資材にアスベストが含まれているとの情報を受けて、フィリピンの環境天然資源省の調査官が全体で158のコンテナでありますが、その6個を開封して、そのうちの2個にアスベストの混入を確認したという報道だということでございます。
 これについては、本年1月から2月にかけて、我が国は外務省とフィリピンの外務省の間で情報交換をしたところですが、その中で、フィリピン当局は今回の輸出に関しては、特段問題はないと判断していた模様でございます。

 今回のアスベストが含まれているとの報道がなされたために、当該貨物に本当にアスベストが含まれているのかどうか、それから当該貨物がどのような使用目的、経路で輸出されたかなどについて、再度関係省庁とともに、事実確認をするように指示したところでございます。

*新聞記事(記者会見を受けての)
2000年4月19日 アスベスト含有の疑い セブ島へ輸出の建材
日本からフィリピン中部セブ島のセブ港に輸入された仮設住宅用中古建材の中に、発がん性物質のアスベストが含まれている疑いのあることが18日までに判明。比環境天然資源省は同日、専門家による鑑定を始めた。初日の所見では「有害性の低い種類」とみられるという。(東京4月19日)
▲フィリピンでの報道(4月14日)→日本での記事→記者会見(4月18日)
(ニッソー事件の後だっただけに、政治決着だったのか、ほんとに「有害性の低い種類」だったのかは?)