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衆議院法務委員会(2004年2月25日)
小宮山洋子議員(民主党)が追及
参議院予算委員会(2004年3月15日)
福島瑞穂議員(社民党)が追及
参議院法務委員会(2004年3月16日)
千葉景子議員(民主党)が追及
参議院予算委員会(2004年3月15日)で、福島瑞穂議員(社民党)が追及
[002/008] 159 - 参 - 予算委員会 - 10号
平成16年03月15日
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福島瑞穂
政府参考人(法務省入国管理局長)増田 暢也君
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[375]福島瑞穂
○福島瑞穂君
社民党の福島瑞穂です。
法務省入国管理局がホームページ上で外国人情報の受付を始めました。概要について説明をお願いします。
[376]野沢太三
○国務大臣(野沢太三君)
我が国に入国し在留しておられる外国人の大多数の方がルールを守っておられるということは言うまでもありませんが、残念ながら、我が国、現在約二十五万人の不法滞在の外国人の方がいらっしゃるわけでございますが、この皆様に対しては何とかひとつお帰りをいただこうかということで、既に内閣ではこの不法滞在を半減させるという方針を打ち出して取り組んでおる次第でございます。
〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕
そのためには積極的な摘発活動を行う必要がありまして、これまでも電話やお手紙で国民の方々からお寄せいただく様々な情報は貴重な情報として活用させていただいておりますが、その中から電子メールで情報提供したいというお声もありまして、これはもう昨今の社会情勢では当然のことではないかということでございまして、これを受けるのは特別、差別とか排外主義を助長するということではないと考えております。
[377]福島瑞穂
○福島瑞穂君
ただ、違反者と思われる人に関する情報の通報動機もひどいんですね。これは、近所迷惑、不安、利害関係、違反者のために解雇されたなど、入管法違反の通報とは何ら関係ないものが挙げられています。
入管法六十二条は通報に関して限定をしております。他の法律でも同じです。通報に関しては、ドメスティック・バイオレンス防止法を始め、通報についてはこういう場合にできるとありますが、このホームページ上は近所迷惑、不安、そういうことが通報動機になっております。これは極めてあいまいかつ問題ではないでしょうか。
[378]野沢太三
○国務大臣(野沢太三君)
もちろん、私どもは、入管法で定めておりますこの諸規定については、通報の手段その他にかかわらず、これは尊重していかなきゃいかぬと考えております。
[379]福島瑞穂
○福島瑞穂君
しかし、通報動機に近所迷惑、不安、利害関係などあるんですね。そうすると、不安を抱えているので、どうもあの外国人は怪しいんじゃないか、それで通報が起きます。これは通報の内容を明らかに超えていると考えられますが、いかがでしょうか。
〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕
[380]増田暢也
○政府参考人(増田暢也君)
通報動機についてのお尋ねですけれども、通報動機について例示をしているのは、その動機もそうですが、その通報者が自分の氏素性を明らかにしているか、あるいはその通報内容が具体的であるのか、そういったこともすべて踏まえて、この通報された内容がどの程度信用性が置けるものか、あるいはこの情報をどれだけ緊急に着手すべきなのか、そういったことを判断する一つの要素としてこの通報動機も例示しているわけで、その例示に当たりましては、従来から入管は、電話であるとかお手紙でいろいろ情報をいただいています。
そういったこれまでの実績で、大体こういったことで私らは通報しているのだというものを今回例示として取り上げているということでございます。
[381]福島瑞穂
○福島瑞穂君
でも、不安で、それが通報動機だとなれば、それは外国人に対しての差別につながると考えられますが、いかがでしょうか。
通報の要件に当たらないことを、なぜ冒頭、通報動機に挙げているのでしょうか。また、これは匿名でも通報ができるようになっております。
[382]増田暢也
○政府参考人(増田暢也君)
先ほどもお答えいたしましたとおり、この通報動機はあくまでもほかの通報人の氏、氏名であるとかあるいは通報の内容であるとか、そういったこと等すべて総合して、いただいた通報内容がどれだけ信用できるのか、そういったことを判断する材料としてこの通報動機もあった方がよい、こういう判断で設けたものでございまして、決して差別を助長するとか、そういった意図ではございません。
[383]福島瑞穂
○福島瑞穂君
しかし、このインターネットを見ても、ホームページを見ても、非常に分からない。
まず、提供情報の次に通報動機というものがあります。きちっと、どんな場合に通報できるかということと関係なく、通報動機というところからスタートしていますので、不安を感ずる、近所迷惑だと思った人が、あの人騒いでいるし、日本人かどうかなということで通報することもあり得ると思います。これはやはり問題だと思いますが、いかがでしょうか。
[384]増田暢也
○政府参考人(増田暢也君)
正確に申しますと、何も通報動機から始まっているわけではなくて、まず通報者の方の氏名、それから通報の内容についてはどういう通報内容なのか、働いている場所なのか、それとも住んでいる場所なのか、そういったことをお教えいただいたその次に、それでは通報動機は何でありますかということをクリックによって教えていただき、そしてさらに、通報の内容としては具体的にどういう違反事由があるというお考えなのかを記載していただくということであって、別にその点では問題はないと考えております。
[385]福島瑞穂
○福島瑞穂君
しかし、これは匿名でもできるものであります。
では、次にお聞きしますが、個人情報保護法がありますけれども、これに関して集めた情報が電子磁気テープ化していらっしゃるのでしょうか。
[386]増田暢也
○政府参考人(増田暢也君)
データとして蓄積しております。
[387]福島瑞穂
○福島瑞穂君
国会でも議論になりました個人情報保護法に関しては、これは個人情報保護、非常に厳密な法律を作りました。これには、通報、この何か違反しているかもしれないということで、個人の情報、外国人かどうか分かりませんよ、電子データ化されることは個人情報保護法に超えているのではないか。いかがでしょうか。
[388]増田暢也
○政府参考人(増田暢也君)
今回の通報制度は、あくまでも、入管法六十二条第一項が何人であっても退去強制事由に該当する外国人について通報することができると、この法律を受けて、それが従来手紙や電話で行われていたものを電子メールでもお受けしましょうとしただけのことであって、決して個人情報保護法に抵触するものとは考えておりません。
[389]福島瑞穂
○福島瑞穂君
しかし、六十二条の通報かどうか、これを見ているだけでは分かりません。違反者ということが書いてありますし、やはり、繰り返し言いますが、通報動機に近所迷惑、不安というのがありますから、不安だ、近所迷惑だ、あいつはおかしいということで通報してしまうことがあるわけです。
そして、これが電子カード化されるんであれば、それはやはり個人のデータがこれで集積をしていく。本当にその人が外国人であるのか、あるいはいわゆる不法就労外国人であるのか分からないにもかかわらず、電子カード化されるのではないですか。これは個人情報保護法を超えていると考えますが、いかがですか。
[390]増田暢也
○政府参考人(増田暢也君)
私どもといたしましては、退去強制事由に違反すると思われる外国人がいますよと、それを入管に通報したいという方からその通報を電話やはがきとは別にこの電子メールでもお受けしているということであって、その意味では決して個人情報保護法を超えるものとは考えておりません。
[391]福島瑞穂
○福島瑞穂君
しかし、いろんな人から来た情報を電子カード化するわけですから、それを超えている。いろんな人の情報、いろんな人から匿名で来たものも電子カード化するのですから、個人情報保護法に反するおそれがあると考えます。
そして、人種差別撤廃条約を日本は批准していますが、国又は地方の公的権力は人種差別を助長し、又は扇動することは許されない。こういうことをホームページでやると、いろんな人からあいつは怪しいんじゃないかという、適法に働いている人もいますし、外見は日本人に見えなくても日本人という人だっている。でも、これだと本当に密告ということになるのではないでしょうか。また、匿名でできますから、安易な通告もできるわけです。しかも、それが電子カード化されるという点が極めて問題だと考えますが、法務省は問題だと考えないのでしょうか、人権侵害は起きないのでしょうか。
[392]増田暢也
○政府参考人(増田暢也君)
このいただく通報は、あくまでも、退去強制事由に該当する人物について入管がこれを摘発を行う、そのための事前の調査を行う、そういったことの端緒として使うために、国民の皆さんが持っていてこれを入管に教えたいという情報をいただくという限度のものであります。
また、そのいただき方で、必ずその名前を明記するようなことを義務付けますと、かえって、入管に教えたいけれども自分の名前が明らかになるというのは困るという人から正確な情報があるいは入りにくいということも懸念されます。
そういう意味で、私どもとしては決して、いい加減な情報であるとか、あるいは外国人を陥れるような、特定の外国人をおとしめるような、そんな情報をいただくつもりは毛頭ないわけで、真実の情報をいただく、そのためには匿名の道も開いておいた方がよいと、こういう考えで行っているところでございます。
[393]福島瑞穂
○福島瑞穂君
今まで、外国人の妻に逃げられた夫が妻を通報するとか、ライバルの会社をこれで通報するなどいろんな、これは電子だけではありませんが、あります。やはり無責任な通報がこれで起きるのではないか。
また、「入国管理局ホームページへようこそ」の冒頭は、「我が国にとって好ましくない外国人を強制的に国外に退去させることにより、健全な日本社会の発展に寄与しています。」と。しかし、この文章が、法務省の文章で問題なのは、「我が国にとって好ましくない外国人」、極めて主観的な書き方をしていることです。このホームページを見た人は、何か外国人は危ないぞと、きちっと通報の要件など書いてありませんから、これで匿名で安易に通報するのではないでしょうか。
法務大臣、法務省は人権擁護局もあります。法務省が人権侵害をしてどうするのかと思いますが、いかがでしょうか。再考の余地はないのでしょうか。
[394]野沢太三
○国務大臣(野沢太三君)
法務省はもちろんこの人権擁護も大事な仕事としてやっておりますので、この記事あるいは通報のシステムは決してそのような御心配の向きには至らないと思っております。
[395]福島瑞穂
○福島瑞穂君
この近所迷惑、不安、利害関係という通報動機をやるというのは、やはり外国人に対して不安がある、あるいは近所迷惑、利害関係、そういうことをやはり想起させるし、だから通報してやるというふうになるし、通報された人間が間違っていたらどうなるのかと思います。
大臣、このようなホームページの情報受付は中止すべきあるいは再考すべきだと重ねて御質問いたします。
[396]野沢太三
○国務大臣(野沢太三君)
今後の運用については私どもも十分心して取り組むつもりですが、これも一つのもう最近普及されました手段として活用の方も考えていかなきゃいかぬなと思っております。
[397]片山虎之助
○委員長(片山虎之助君)
福島瑞穂君、もう時間だよ。
[398]福島瑞穂
○福島瑞穂君
人権上極めて問題があり、外国人排撃になりかねないので、中止してくださるよう強く求めて、私の質問を終わります。
[399]片山虎之助
○委員長(片山虎之助君)
以上で福島瑞穂君の質疑は終了いたしました。